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── ワシントンポストの記事を読んで、あらためて日本の患者さんへお伝えしたいこと
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インフルエンザワクチンで「インフルになる」は本当?
── ワシントンポストの記事を読んで、あらためて日本の患者さんへお伝えしたいこと

先日、The Washington Post(ワシントン・ポスト)に 「インフルエンザワクチンで“インフルにかかる”という最大級の誤解」 について、とても分かりやすい記事が掲載されていました。

▼参照記事
“Can the flu shot cause the flu?” — The Washington Post(2025年11月18日)
https://www.washingtonpost.com/wellness/2025/11/18/influenza-vaccine-flu-shot-myths/

内容はアメリカの状況が中心ですが、 「ワクチンでインフルになるのでは?」という質問は、日本でも毎年必ずいただきます。

この記事を読み、
「これは日本の患者さんにも、あらためて丁寧にお伝えしたい」
と感じ、本ブログを書きました。

ここからは、ワシントンポストの記事のポイントに、
2025年の日本のワクチン事情(3価移行・高用量ワクチンなど)を加えた“日本版まとめ”をお届けします。

■ なぜ「ワクチンでインフルになった」と感じるのか?

1)日本で最も広く使われている「注射の不活化ワクチン」には、生きたウイルスは入っていません

日本で最も広く使われている季節性インフルエンザワクチン(注射)は、

  • 不活化(=死んだ状態の)ウイルス
  • ウイルス表面のタンパク質の一部

を使っています。

これらは体内で増えることができないため、
仕組み上、インフルエンザそのものを引き起こすことはありません。
ワシントンポストの記事でも、専門家が同じポイントを強調していました。

2)免疫が動き始めたときの“自然な反応”が、風邪のように見える

ワクチンを打つと、免疫システムが「訓練モード」に入り、
その際に出るサイトカインという物質の影響で、

  • だるさ
  • 微熱
  • 筋肉痛
  • 頭痛

といった、軽い風邪のような症状が出ることがあります。

これはインフルエンザにかかったのではなく、「免疫がきちんと働いているサイン」です。
多くは 1〜2 日で自然におさまります。

3)免疫がまだ完成していないうち(2週間以内)に、本物のウイルスをもらっていた

インフルエンザワクチンで十分な免疫がつくまでには、
およそ2週間が必要です。

この前後のタイミングでインフルエンザウイルスをもらってしまった場合は、もちろん発症します。

患者さんの感覚としては、

「打った直後に熱が出た → ワクチンのせい?」

と感じやすいのですが、医学的には 「接種前から、あるいは接種直後にすでに感染していた」ケースと考えられます。

ワシントンポストの記事でも、この点がとても丁寧に説明されていました。

■ ワクチンを打ってもインフルにかかる?
── 目的は「感染ゼロ」ではなく「重症化を防ぐこと」

海外の複数の研究レビューでは、
インフルエンザの発症を防ぐ効果は、例年おおよそ 40〜60%と報告されています。
(年や流行株、年齢・基礎疾患などにより変動します)

ただし、インフルエンザワクチンの「本当の役割」はここです。

● 入院・重症化・死亡のリスクを下げる

海外のレビューでは、
ワクチンを受けた方は入院・重症化・死亡のリスクが有意に低下する可能性があると報告されています。

ワクチンはよく、“車のシートベルト” に例えられます。

  • シートベルトは事故そのもの(=感染)を 100% 防ぐわけではありませんが、
  • 万一のときのダメージを大きく減らしてくれます。

インフルエンザワクチンも、まさにこのシートベルトのような役割を担っています。

■ 日本で使用されているワクチン(2025/26シーズン)

まずは、日本で実際に受けることのできるワクチンから整理します。

① 不活化ワクチン(注射)

日本で最も標準的で、全国で広く使われているタイプです。

  • 2025/26 シーズンから 4 価 → 3 価(A 型 2 株+B 型 1 株)に移行
  • 理由:B/Yamagata 系統が 2020 年以降検出されず、消失した可能性が高いため(WHO 推奨)

② 点鼻ワクチン(FluMist®

日本でも承認されており、2024 年秋シーズンから一部の小児科で接種が始まっています。
ただし、全国どこでも受けられるわけではなく、取り扱い医療機関はまだ限られています。
2025/26 シーズンも、一部医療機関で提供が続く見込みです。

  • 対象:2〜18歳(2歳以上19歳未満。医療機関により運用が異なる場合があります)
  • 方法:注射ではなく、鼻の中にスプレーするタイプ
  • 性質:弱毒生ワクチン(鼻粘膜で局所的に弱く増えるよう設計)

通常の免疫機能をお持ちの方では、
インフルエンザそのものを起こしにくいよう設計されたワクチンとされています。

主な副反応としては、

  • 鼻水・鼻づまり・くしゃみ
  • ときに咳やのどの痛み・微熱

といった「鼻かぜ様」の症状が出ることがあります。

● 卵アレルギーについて

卵アレルギーでも接種できる場合がありますが、
重症度や過去の反応歴によって判断が分かれます。
卵アレルギーがある方は、必ず事前に医師にご相談ください。

■ 海外で使用されているその他のワクチン
(日本では原則受けられないものを含みます)

ここからは、主に海外で使われているタイプを「参考情報」としてご紹介します。
日本で標準的に選べるものではありませんが、ニュースなどで名前を見かけることもあるため、簡単に整理しておきます。

③ 高用量ワクチン(エフルエルダ)

高齢者など、免疫の反応が弱くなりやすい方に向けて、
通常より抗原量(ウイルス成分の量)を多くしたワクチンです。

日本では、

  • サノフィの「エフルエルダ」が 2024 年に承認(60 歳以上)されていますが、
  • 2025/26 シーズンにはまだ一般流通しておらず、3 価高用量ワクチンとしての発売準備が進められています。
  • 2026 年秋から、75 歳以上を対象に定期接種として導入される予定です。

「高用量ワクチン」という言葉を耳にする機会は増えていますが、
2025/26 シーズンの時点では、実際に接種できるかどうかは年度や医療機関によって大きく異なります。
ご希望のある方は、そのシーズンに受けられるかどうかを、事前に医療機関へお問い合わせください。

④ アジュバント添加ワクチン(日本では未承認)

アジュバントとは、免疫応答を高めるために加えられる成分のことです。

  • 代表例:MF59 を含む Fluad など
  • 米国・欧州などでは、高齢者向けのインフルエンザワクチンとして広く使用

一方、日本では、

  • 2025年11月現在、インフルエンザ用のアジュバント添加ワクチンは製造販売承認を受けていません。
  • 公的な定期接種や、標準的な選択肢としては利用できません。

つまり、アジュバント添加ワクチンは 「海外では一般的、日本ではまだ利用できないタイプ」という位置づけです。

⑤ リコンビナントワクチン(卵不使用・日本では未承認)

リコンビナントワクチンは、遺伝子組換え技術を用いて作られるインフルエンザワクチンで、
卵を使わない製造法により、卵アレルギーの方にも使いやすい選択肢として海外で用いられています。

  • 代表例:Flublok など
  • 鶏卵ではなく、昆虫細胞などを使った製造法で作られます。

日本においては、

  • 2025年11月現在、リコンビナントインフルエンザワクチンは製造販売承認を受けていません。
  • 定期接種や、一般的な任意接種としては利用できません。

そのため、
「卵アレルギーでも必ず受けられる国内ワクチン」 と誤解しないことが大切です。

卵アレルギーがある方は、現在利用できる不活化ワクチンも含め、
個別に医師と相談しながら方針を決めていきます。

■ 【参考】2025/26シーズン:日本は「4価 → 3価」に移行

WHO の推奨に基づき、
B/Yamagata 系統が 2020 年以降検出されず、消失した可能性が高いと考えられることから、

日本の季節性インフルエンザワクチンは、

  • 従来の 4 価(A2株+B2株) → 3 価(A2株+B1株)

へと移行しました(2025/26 シーズン)。

■ まとめ 〜今日のポイント〜

  • 日本で最も広く使われている注射の不活化ワクチンには、生きたウイルスは含まれていません。
  • 接種後のだるさ・微熱・筋肉痛などは、「免疫が訓練しているサイン」であり、インフルエンザそのものではありません。
  • 接種直後の発症の多くは、実は接種前からすでにウイルスに触れていたケースがほとんどだと考えられています。
  • ワクチンの目的は、感染を 100% 防ぐことではなく、入院・重症化・死亡のリスクを有意に低下させる可能性があることです。
  • 日本で使えるのは、主に不活化ワクチン(注射)と、2〜18歳の小児・青少年を対象とした FluMist(点鼻ワクチン)です。
  • 高用量・アジュバント添加・リコンビナントなどは海外の情報が先行している段階であり、
    日本では「高用量は承認済みだが、実際の定期接種導入はこれから」や「そもそも未承認のもの」が多い、という背景を知っておくと、ニュースやネットの情報を整理しやすくなります。

■ 今回読んだワシントンポストの記事

本ブログを書くきっかけになった記事はこちらです。

“Can the flu shot cause the flu?”
— The Washington Post(2025年11月18日)
https://www.washingtonpost.com/wellness/2025/11/18/influenza-vaccine-flu-shot-myths/

英語の記事ですが、インフルエンザワクチンにまつわる誤解を専門家が分かりやすく解説しており、
興味のある方には読んでみる価値があると思います。

■ 最後に

ワクチンに関する情報は、SNS や口コミを通じて毎年のように広まり、
その中には誤解や、極端な意見も少なくありません。

正しい情報を知ることは、「受ける・受けない」を冷静に判断するための前提条件です。

当院では、

  • これまでのご体質
  • 副反応歴
  • ご年齢・基礎疾患
  • 接種のタイミングやご希望

などをふまえて、

「どのワクチンを、どのタイミングで受けるのが、その方にとって一番安心か」 を一緒に考えていきます。

ご不安やご質問があれば、どうぞお気軽にご相談くださいね。

当院ではインフルエンザワクチンの予約も随時承っております。
予約は当院ホームページの予約サイトからお願いします。

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