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インフル迅速検査の「12時間待てば陽性になる」は本当?
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インフル迅速検査の「12時間待てば陽性になる」は本当?

― 医学的には「単純な12時間ルール」としては成り立ちません

「インフルエンザの検査は 12時間経たないと陽性にならない

毎年のように耳にするこの話ですが、医学的な“決まり”としては存在しません。

CDC・IDSA・AAP(小児科学会)など 世界の主要ガイドライン は、いずれも共通して

症状が出たら、できるだけ早く検査を

という方向性を示しています。

(下記リンクはいずれも医療従事者向けの専門資料です。不安な場合はスタッフにお尋ねください。)

※AAPの方針は、重症化リスクのある小児で、発症早期に診断・治療を行うことの重要性を強調した内容です。

なぜ「早め」の検査が良いのか?

インフルウイルスは、一般的に次のような経過をたどります。

  • 発症の前後〜1〜2日でウイルス量がピークになる
  • その後、徐々に減っていく

日本の研究でも、発症48時間以内は特に陽性が出やすい と報告されています。
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC7202626/

そのため、患者さん向けには次のように説明すると現実的です。

  • 発症後1〜2日が「特に」当たりやすい
  • それ以降でも、3〜4日目くらいまでは陽性になる方が多い

「12時間待ち」説はどこから来たのか?

実際の診療では、次のようなケースがあります。

  • 発症して数時間で検査 → 陰性
  • 翌日にあらためて検査 → 陽性

ここから、

「12時間くらい経たないと陽性にならないらしい」

という“12時間ルール”のような噂が広がったと考えられます。

しかし、これは

「発症早期のウイルス量には個人差が大きい」ことの言い換えに過ぎず、
医学的な“決まり”があるわけではありません。

さらに、読取装置付きの高感度迅速検査(機器型 RIDT)では、
発症12時間以内でも陽性になる例が普通にあります。
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC7202626/

迅速検査はとても便利ですが、“万能”ではありません

従来型 迅速検査(RIDT)の性能

CDCが示す従来型迅速検査(RIDT)の性能は、概ね次の通りです。

  • 感度(陽性を見つける力):おおむね 50〜70%
  • 特異度(間違った陽性を出さない力):90〜98%

参考:
https://www.cdc.gov/flu/hcp/testing-methods/rapidclin.html
https://www.acpjournals.org/doi/10.7326/0003-4819-156-7-201204030-00403

高感度RIDT(機器型)はここが違います

読取装置を用いる高感度RIDTでは、

  • 感度75〜85%以上の報告もある
  • 発症48時間以内の検出率が97.9%
  • 発症12時間以内で100%と報告された製品もある(製品ごとの違いあり)

参考:
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC4313304/

感度・特異度・高感度RIDTが「一発でわかる」表

(スマホでも読みやすいように構造をそろえています)

用語 意味 RIDTでは…
感度 陽性を見つける力 50〜70%(高感度なら75〜85%以上)
特異度 間違った陽性を出さない力 90〜98%と非常に高い
高感度RIDT 少ないウイルス量でも拾いやすい 発症12時間以内でも陽性が出ることがある

特異度が高い検査なので、

検査で「陽性」と出れば、まずインフルエンザと考えてよいという性質があります。

【制度上の大切なお知らせ】高感度RIDTは、すべての方が「保険適用」で受けられる検査ではありません

わが国の診療報酬制度では、機器型の高感度検査や核酸検査などは、

  • 年齢
  • 基礎疾患の有無
  • 症状の重さ

などを踏まえて、医師が保険適用の可否を判断する仕組みになっています。

そのため、

  • すべての患者さんが同じ条件で保険で受けられるわけではない
  • 検査方法の選択は、症状・背景・制度上の条件をふまえ、医師が総合的に判断してご提案します

※特定の検査法の優位性をうたうものではなく、制度に関する一般的なご説明です。
詳細は受診時に医師がご説明します。ご不安な点はいつでもお気軽にご相談ください。

発症前の検査は推奨されません

インフルエンザの潜伏期間は、

  • おおよそ 1〜2日
  • 中央値は 1.4〜1.9日 と報告されています

参考:
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19393959/

この「症状が出る前」の時期は、

  • 抗原量(ウイルスの量)がまだ少なく、迅速検査で陽性になることは“まれ”
  • CDC や IDSA などのガイドラインでも、無症状期の検査(スクリーニング)を日常的に行うことは推奨されていない

再検査・再受診の目安

次のような場合には、早めに医療機関へご相談ください。

  • 38.5℃以上の高熱が続いている
  • ぐったりして動けない・息苦しさが強い
  • 咳がどんどん悪化している
  • 家族など身近にインフルエンザ確定者がいる
  • 乳幼児・高齢者・持病(心臓・肺・腎臓・糖尿病など)がある

市販の検査キットを何度も繰り返すより、
医療機関でまとめて評価してもらう方が、結果として安全なことが多いです。

患者さん向け「いちばん大事なポイント」まとめ

  • 「12時間待てば陽性になる」という決まりはありません。
  • 検査は、発症後できるだけ早め(特に1〜2日以内)が当たりやすいです。
  • 3〜4日目でも、多くの方で陽性が出ることがあります。
  • 迅速検査は便利な反面、“万能”ではなく、検査法によって性能に差があります。
  • 陰性でもインフルエンザの可能性が残ることがあります。症状が強い場合や不安な場合は、自己判断で様子を見すぎず、医療機関にご相談ください。

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