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🧡 甲状腺機能低下症 ― JAMA最新レビューと国内知見から
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🧡 甲状腺機能低下症 ― JAMA最新レビューと国内知見から


✨ イントロ(経緯)

2025年9月24日付の 米国医師会雑誌(JAMA) に、甲状腺機能低下症をまとめたレビュー論文が発表されました(Hypothyroidism: A Review)。
JAMAは世界中の医師が臨床現場で参考にする信頼性の高い医学誌です。

さらに日本でも、日本甲状腺学会が2024年に診断ガイドラインを改定しています(日本甲状腺学会ガイドライン)。
つまり「甲状腺機能低下症」に関しては、今まさに世界的にも国内的にも診療の考え方が整理され直されているところです。


📚 参考文献・ガイドライン


🦋 1. 甲状腺機能低下症とは?

  • 甲状腺は首の前にある小さな臓器。

  • 甲状腺ホルモン(T4・T3) は体温・心拍・腸の動き・気分・脂質代謝を調整。

  • それが不足した状態が 甲状腺機能低下症 です。


🌧️ 2. 症状(患者さんがよく感じる不調)

  • 😴 強い眠気・疲れやすさ

  • 🧦 むくみ(朝靴がきつい)

  • 🚽 便秘

  • ⚖️ 食事量は同じなのに体重増加

  • 💇‍♀️ 抜け毛・乾燥肌

  • 🧣 寒がり

  • 😔 気分の落ち込み

👉 「年齢や更年期のせい」と思い込み、受診が遅れがちです。


🔎 3. 潜在性甲状腺機能低下症(Subclinical)

  • TSH が高いのに 遊離T4 は正常

  • 国内有病率:女性6.3%、男性3.4%(Endocr J 2022)。

  • 自覚症状がないことも。放置で進行・循環器負担の可能性。


🧪 4. 診断に使う検査

  • 🧭 TSH:脳から「もっと出して!」の合図

  • 💧 遊離T4:体で使える甲状腺ホルモン

  • 🧫 抗TPO抗体:橋本病の確認

  • 🫧 超音波:腫れや萎縮のチェック


🧩 TSHが上がる仕組み

甲状腺ホルモンが足りないと、脳(下垂体)が TSH を増やして甲状腺に「もっと作って!」と指令します。
👉 例:甲状腺=工場、ホルモン=製品、TSH=工場長の指令書。製品不足→指令書が増える=TSH上昇


🐢 5. 過剰診断に注意

  • 「TSHが少し高い」=すぐ治療 ではありません。

  • 👵 高齢ではTSHが高めでも問題ないことも。

  • 😌 無症状なら経過観察が妥当な場合あり。

  • 参考:JAMAレビュー


💊 6. 治療

  • 標準:レボチロキシン(T4製剤) を毎日内服。

  • その後、血液検査でTSHを確認しながら投与量を調整

  • 👴👵 高齢・心疾患がある方は少量から慎重に。

T3製剤(チロナミン)について

  • 特殊な場合に検討。動悸・骨の影響など副作用に注意。

  • 使用は少数(国内アンケート)。


🚨 7. 放置した場合のリスク

  • 🩸 脂質上昇 → 動脈硬化・心筋梗塞

  • 🤰 妊娠合併症(流産・胎児発育)

  • 🧠 抑うつ・認知機能低下

  • 🆘 重症:粘液水腫性昏睡


🫀 8. 甲状腺と心臓・血管の関係

  • 低下症:徐脈/血圧↑/コレステロール↑/心不全リスク

  • 亢進症:頻脈/心房細動/心不全悪化
    👉 心臓に不安がある方こそ、甲状腺チェックは有用です。


❓ よくある質問(Q&A)

Q1. 潜在性でも治療は必要?
→ 軽度の潜在性では薬を使わず経過観察も可能です。ただしTSHが10以上、抗体陽性、妊娠希望などリスク条件がある場合は治療を勧めます。
👉 治療するかどうかは「症状・年齢・合併症」を総合して判断します。


Q2. 薬は一生続けるの?
→ 橋本病が原因の場合、多くは長期服用が必要です。一方、亜急性甲状腺炎 のように一過性の炎症が原因なら自然回復し、薬をやめられることもあります。
👉 「一生飲み続けるのでは?」と不安になりますが、原因次第で違います。


Q3. 妊娠に影響はある?
→ 未治療だと流産や胎児発育不良のリスクが高まります。治療してホルモンを正常化すれば、多くは安全に妊娠・出産できます。
👉 妊娠希望の方は早めの検査・治療が安心につながります。


Q4. 食事やサプリで治せる?
→ サプリや食事だけで病気を治すことはできません。ヨウ素(海藻)は必要ですが、摂りすぎは逆効果に。
👉 健康食品に頼るより、医師の指導のもとで治療を続けることが大切です。


Q5. 症状なしでTSHが高い。放置しても大丈夫?
すぐに治療が必要とは限りません。 遊離T4が正常で症状がない場合は潜在性と呼ばれます。

  • 年齢や体調によっては経過観察で十分なことも。

  • TSHが10以上/抗体陽性/妊娠希望 では治療を検討。

  • 心臓や血管リスクがある方は特に注意。

👉 定期的な血液検査フォローが重要です。


Q5.1. 薬を飲み忘れたら?
1日忘れたらその日は飲まず、翌日から通常通りでOK。

  • まとめて飲む必要はありません。

  • 数日続いたら必ず医師に相談。


Q6. 高齢者でも薬は使う?
→ はい。ただし心臓や骨に負担がかからないよう、少量から開始。過量は不整脈や骨粗鬆症を招くため注意。


Q7. T3薬(チロナミン)は有効?
→ 標準はT4薬。効果不十分な一部でT3を併用することもありますが、副作用があるため一般的ではありません。


Q8. ダイエットしても痩せないのは甲状腺のせい?
→ 「痩せない原因」は実際にはたくさんあります。食事内容、運動不足、筋肉量の低下、睡眠、ストレス、加齢など。
その中で甲状腺機能低下症は “原因の一つになり得る病気” です。

👉 「痩せない=必ず甲状腺のせい」ではなく、複合要因の一部と考えるのが正確です。治療で代謝は改善し、生活習慣の努力も効果的になります。


Q9. 家族も検査したほうがいい?
→ 甲状腺機能低下症の多くは「橋本病」など自己免疫性疾患。家族に出やすい傾向があります。

  • 家族歴あり

  • 女性で40歳以上

  • 妊娠希望

  • 疲れやすい・寒がり・体重増加

👉 こうした方は血液検査(TSH)を受けておくと安心です。


Q10. 患者数が増えているって本当?
→ 血液検査の普及で「見つかる人」が増えています。ただし「治療が必要な人」と「経過観察で十分な人」を見極めることが大切で、これが“過剰診断”の問題です。


🫶 院長からのメッセージ

甲状腺機能低下症は見逃されやすい一方、脈・血圧・コレステロール など心血管にも影響します。
当院は循環器の視点も踏まえて、甲状腺と心臓・血管をあわせて評価します。
👉 「年齢のせいかな?」の裏に甲状腺が隠れていることも。心臓の不安がある方も、どうぞ気軽にご相談ください。

 

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