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🩺【続報】週刊文春「高齢者が避けたい2種類の降圧剤」を読んで ― 本当に怖いのは“誤解”です
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🩺【続報】週刊文春「高齢者が避けたい2種類の降圧剤」を読んで ― 本当に怖いのは“誤解”です

とうとう出たね

 

松本人志さんは別の意味でこの言葉を使っていましたが、

医療の世界にも、思わず同じ言葉を口にしたくなる瞬間があります😅。

 

📱LINEニュースに流れてきた見出し――

「高齢者が避けたい降圧剤、ついに判明!」

 

3行読んだところで“続きは購入で読めます💰”の一文。

 

……そう、やっぱり“売るための記事”なんです。

 

前回のブログ(👉 🧠 マスコミに騙されない!降圧剤・スタチンの真実)でも書きましたが、

週刊誌は昔から「血圧」「コレステロール」といったワードを、

ほぼ定期的に“恐怖と安心のループ”で取り上げます。

 

つまり、医療ではなく、マーケティング構造としての“高血圧”

そして今回も、思わずつぶやいてしまうんです――「とうとう出たねぇ……」。

 


 

今度は週刊文春(2025年10月2日号)が

【高血圧の最新常識2025】「高齢者が避けたい“2種類の降圧剤”」という刺激的なタイトルで記事を出しました。

 

見出しだけを見ると、「危ない薬を教えます💣」という雰囲気。

でも――本当に怖いのは、薬そのものではなく、“誤解”の方です。

 


 

 

🧾 1.ガイドライン改訂=「高齢者にも厳しく」? 本当にそうでしょうか

 

 

文春記事では、日本高血圧学会の新ガイドラインで

「75歳以上の降圧目標が10mmHg引き下げられた」と紹介し、

あたかも“高齢者にも若者並みの血圧を求める時代”が来たかのように書かれています。

 

しかし、その理解は極めて表面的です。

 

確かにガイドライン上では、

75歳以上も「130/80mmHg未満」と数値が統一されました。

けれども、これは「目安」であって全員がそこを目指すべきとは書かれていません

 

実際の本文を読むとこう書かれています👇

 

「高齢者では、全身状態・フレイル・認知機能を考慮し、柔軟に降圧目標を設定すること」

 

つまり、「高齢者にも厳格降圧」というのは誤読です。

むしろガイドラインが示しているのは、“個別化”の重要性

 

数値ではなく、生活の質と安全性を守る降圧こそが目的。

 

文春記事は、この条件文をカットしたうえで「厳しすぎる」と結論づけており、

読者が“ガイドライン=高齢者いじめ👴💢”と誤解しかねません。

 

──実際の現場では「数字より生活」。

ガイドラインの真意は、“柔軟に対応しましょうね”ということなんです。😌

 


 

 

🧠 2.「厳格な血圧管理は認知症リスクを上げる」? ― データの文脈が違います

 

 

記事では、名古屋学芸大学の下方浩史教授が

 

「高齢者では血圧を下げすぎると認知症リスクが上がる」

 

とコメント。

…はい、ここだけ読むと「血圧下げたらボケるの!?😳」って思いますよね。

 

でも実際の研究データを開くと、文脈がまったく違います。📚

 

欧米の複数の研究(SPRINT MIND など)では、

 

  • 血圧を適正に下げた群では脳卒中・心不全・腎不全が減少

  • 過剰に下げすぎた(上が110mmHg以下など)群でリスク上昇

 

 

つまり、問題は「降圧」ではなく「過降圧」。

 

高齢者では血管の柔軟性が低下し、下げすぎると脳血流が減って“ぼーっとする・転倒する”などの副作用が出やすくなる。

 

要は、**ちょうどいい塩梅(あんばい)**が大事ということです。🍵

 

当院でも

「130を切ること」よりも「ふらつかない」「笑って食事できる」

――このほうがずっと大事。

 

血圧はテストの点数じゃありません。

日常を支えるバランスの話です。

 


 

 

💊 3.「避けたい2種類の降圧剤」? ― 医師の立場から見る真実

 

 

さて、問題の「2種類」。

💧 サイアザイド系利尿薬

❤️ β遮断薬。

 

記事では“高齢者が避けたい薬”とされていますが、

実はどちらも**「命を守る実績のある薬」**です。

 

十把一絡げに“危険”とするのは、ちょっと極端すぎます。💦

 


 

 

🧪 サイアザイド系利尿薬 ― 「避ける薬」ではなく「実績ある薬」

 

 

サイアザイド系は、体の余分な塩分と水分を尿として排出し、

血圧を下げる昔ながらの薬です。

「利尿薬」と聞くと“脱水しそう”というイメージを持たれがちですが、

実は世界で最も長く使われ、確かなエビデンスを持つ降圧薬の一つです💪。

 

代表的な臨床研究では、

 

  • SHEP試験(米国・平均72歳):クロルタリドン群で脳卒中36%減少

  • HYVET試験(欧州・80歳以上):インダパミド群で全死亡率21%減少

 

 

――と、いずれも高齢者で明確なベネフィットを示しました。

 

もちろん副作用(低ナトリウム血症・尿酸上昇など)は注意が必要。

しかし、それは「モニタリング不足」であって、「薬が悪い」わけではありません。

 

日本老年医学会のBeers基準にも

 

「定期的な電解質・腎機能チェックを行えば使用可」

 

と明記されています。

 

つまり「高齢者に禁忌」ではなく、

“注意して使えば最良の選択肢”

 

サイアザイドはまさに、**“扱えば光るベテラン選手”**なのです⚾。

 


 

 

💊 β遮断薬 ― 使い方を誤れば危険、しかし本来は“命を救う薬”

 

 

β遮断薬は心臓の拍動を抑え、酸素消費を減らすことで心筋を守る薬。

心不全・不整脈・心筋梗塞――あらゆる現場で使われる命のブレーキペダルです🚗💨。

 

欧米の大規模試験(MERIT-HF, COPERNICUSなど)では、

カルベジロール・ビソプロロール・メトプロロールなどで

死亡率30〜35%低下、再入院も減少。

 

「避けたい薬」どころか、むしろ

“使わなければならない薬” です。

 

ただし――ここで大切なのは、

「正しい知識を持った医師が、正しく使うこと」

 

β遮断薬は導入や増量のタイミングを誤ると、

脈が落ちすぎたり、心不全を悪化させるリスクがあります。

しかし、心機能・脈拍・症状を確認しながら少量から調整していけば、

むしろ最も信頼できる薬になります。

 

正しい理解と適切な管理のもとで使えば、

β遮断薬は**「安心して使える命の薬」**です。

 


 

 

🫀 心不全治療は“Fantastic 4”の時代へ!💥

 

 

かつては「三本柱」と呼ばれていましたが、

現在の標準治療は**4つの柱(Fantastic 4)**です。

それぞれがヒーローのように、異なる角度から心臓を守ります🦸‍♂️🦸‍♀️🦸‍♂️🦸‍♀️。

🧩 薬の分類

代表薬

主な作用

略語・解説

🩸 RAS系阻害薬(ACE阻害薬/ARB/ARNI)

エナラプリル・バルサルタンなど

血管を拡げ、心臓への負担を減らす

RAS=Renin-Angiotensin System(レニン-アンジオテンシン系)

💓 β遮断薬

カルベジロール・ビソプロロール

交感神経を抑え、心拍数を下げる・寿命を延ばす

β=β受容体(心臓のアクセルにブレーキ)

💧 SGLT2阻害薬

ダパグリフロジン・エンパグリフロジン

体内の余分な水分・糖を尿として排出し、心臓のうっ血を減らす

SGLT2=Sodium-Glucose Cotransporter 2(ナトリウム・グルコース共輸送体2)

⚡ MRA(ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬)

スピロノラクトン・エプレレノン

カリウム保持・線維化抑制で心臓のリモデリングを防ぐ

MRA=Mineralocorticoid Receptor Antagonist

これら4剤を適切に組み合わせることで、

心不全による死亡率・再入院率を大幅に下げることが実証されています。

 

💬つまりβ遮断薬は、「Fantastic 4」の一員。

「単なる降圧剤」ではなく、心臓チームの主役の一人なんです!🔥

 


 

 

❤️ 戸塚クリニックより ― 誤解より怖いのは“独断”

 

 

当院では、サイアザイド系利尿薬もβ遮断薬も、

開始前の血液検査・脈拍評価・用量調整を徹底。

一人ひとりに合わせた**“パーソナル降圧戦略”**を行っています。🎯

 

「降圧剤をやめたい」「でも脳卒中は怖い」――

その間の迷いを整理するのが、かかりつけ医の役目です。

 

薬は敵ではありません。

誤解と独断こそが、真のリスクです。

 


 

 

📱 そして今回、LINEで流れてきたあの記事

 

 

3行読んだところで“続きは購入で読めます💰”と出てきたあの記事。

結局、買って読む前に、診察で相談した方が早いです👨‍⚕️。

 

医療の真実は、記事の裏ではなく、あなた自身の体の中にあります。

そのサインを一緒に読み解く――それが、私たちの仕事です。

 


 

🩷「とうとう出たね」――その言葉を、

“誤解”ではなく“正しい理解”のほうに使える世の中へ。🌸

 

 

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