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歩くことで脳を守る? ―― Nature Medicine 2025が示すアルツハイマー予防の可能性
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歩くことで脳を守る?

―― Nature Medicine 2025が示すアルツハイマー予防の可能性

▶ Nature Medicine掲載論文はこちら(英語・原文PDF)

「歩くこと」がアルツハイマー病の進行を遅らせるかもしれない――そんな希望を感じさせる研究結果が、 ハーバード大学の研究チームから発表されました。 Nature Medicine(2025年)に掲載されたこの論文は、14年間にわたり高齢者を追跡し、 日常の歩数と脳の変化を詳しく調べたものです。

🧬 研究の概要

研究対象は、認知機能が保たれた高齢者296人(平均年齢72歳)。歩数計で日常の歩行量を測定し、 PET(陽電子放射断層撮影)という画像検査で脳内のアミロイドβタウたんぱくの蓄積を評価しました。 そのうえで、認知機能の変化を最長14年間追跡しました。

📊 結果:よく歩く人ほど、脳の変化がゆるやかに

  • 日常の歩数が多い人ほど、タウたんぱくの蓄積がゆるやかで、記憶力や判断力の低下も緩やかでした。
  • この効果は特にアミロイドβがすでに溜まり始めた人(前臨床期AD)で顕著でした。
  • 5,001〜7,500歩/日の範囲で効果が頭打ちとなり、それ以上歩いても大きな差は見られませんでした。
  • 活動量の違いによって、認知機能が目立って低下するまでの期間が最大で約7年延びる可能性があると報告されています。

🧠 なぜ「歩くこと」が脳に良いの?

歩くことで血流が改善し、脳に酸素や栄養が行き渡りやすくなります。 さらに、運動によって体内で次のような変化が起こると考えられています:

  • 炎症の抑制:慢性的な炎症が神経のダメージを進めるのを防ぐ。
  • 神経保護物質の増加:VEGF・BDNF・Irisinなどの物質が神経細胞を守り、記憶を担う海馬の働きを助ける。
  • 代謝の改善:血糖値や脂質のコントロールを通じ、脳の老化を遅らせる。

これらの働きが組み合わさることで、タウたんぱくの蓄積や神経細胞の障害が進みにくくなる―― そんな可能性が今回の研究で示唆されました。

🚶‍♀️ どれくらい歩けばいい?

これまで「1日1万歩」が理想といわれてきましたが、 今回の研究では5,000〜7,500歩程度でも十分な効果が期待できることがわかりました。 無理をして距離を稼ぐより、続けられるリズムを保つことが大切です。

  • 朝夕の散歩を組み合わせて、合計で30分ほど。
  • 買い物や通勤の一部を徒歩に変える。
  • 雨の日は室内で軽いストレッチや足踏みでもOK。

※ 心疾患・関節疾患などをお持ちの方は、医師と相談のうえで行ってください。

📘 まとめ

  • 歩くことは「脳の健康を支える最も身近な習慣」。
  • 5,000〜7,500歩/日を目安に、無理なく続けることが鍵。
  • 歩行は薬ではありませんが、脳の変化を穏やかにする可能性があります。
  • “今日の一歩”が、未来の記憶を守る一歩です。

🔗 参考論文

Yau W.Y.W. ほか, Nature Medicine (2025).
“Physical activity as a modifiable risk factor in preclinical Alzheimer’s disease”
DOI: 10.1038/s41591-025-03955-6

本記事は最新研究をもとに一般向けにまとめたものであり、特定の効果を保証するものではありません。
運動習慣の見直しや治療方針については、医師にご相談ください。

 

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