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脂肪肝と言われて不安です……」 そんなあなたに、まず知っておいてほしいこと
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内科・循環器内科・糖尿病内分泌内科|戸塚クリニック
院長:村松 賢一(総合内科専門医・循環器専門医・米国オレゴン州医師)

※生活習慣病(脂肪肝・高血糖・高中性脂肪・高血圧・脂質異常症)、循環器症状(動悸・息切れなど)、発熱時のご相談にも対応しています。
※予約優先制(予約なしでも受診可・混雑時は待ち時間あり)/土曜は午前診療・木曜は20時まで診療

「脂肪肝と言われて不安です……」
そんなあなたに、まず知っておいてほしいこと

健康診断で「脂肪肝」と書かれていた。
医師から「このままだと糖尿病や心臓病のリスクが…」と言われて、夜眠れなくなってしまった……。

診察室でも、こうしたご相談を本当に多くいただきます。

でも実は、脂肪肝の多くは「生活習慣を見直すことで改善の可能性があるタイプ」です(個人差はあります)。
そのカギを握るのが「内臓脂肪」――そしてこの内臓脂肪は、比較的変化が出やすい脂肪であることが最新の研究でわかっています。

1. 脂肪には「皮下脂肪」と「内臓脂肪」があります

■ 皮下脂肪(お腹・お尻・太ももなど)

  • 皮膚のすぐ下にある「エネルギーの貯金」
  • 特に下半身の皮下脂肪は、むしろ身体を守る働きも
  • 健康リスクは比較的低く、生活習慣だけでは減りにくい

■ 内臓脂肪(肝臓・腸のまわり)

  • お腹の奥、臓器のまわりにベルトのようにつく脂肪
  • 炎症を起こしやすく、血糖の乱れ・脂肪肝・糖尿病・動脈硬化と強く関連
  • 心筋梗塞や脳卒中のリスクにも深く関わっています

2. 朗報:内臓脂肪は「比較的変化が出やすい」脂肪です

生活習慣を整えると、皮下脂肪よりも先に内臓脂肪や肝脂肪が減る傾向が、多くの研究で示されています(EASL/EASD/EASO 2024ガイドラインなど)。

診察室でも、「体重はあまり減っていないのにお腹がスッキリした」「肝臓の数値が先に下がった」といった声は少なくありません(効果には個人中心的差があります)。

3. 今日からできる「内臓脂肪を減らす3つの柱」

① 食事 ― いちばん効果が出やすい

  • 野菜・きのこ・海藻・豆類・魚を「少し多めに」
  • 甘い飲み物・白いごはん・パン・麺は「今より少し控えめに」
  • 地中海食やゆるやかな糖質コントロールは、肝脂肪・内臓脂肪の改善に役立つ可能性があります(個人差あり)
    EASL/EASD/EASO 2024ガイドライン

② 有酸素運動 ― 週150分を目標に(小分けOK)

  • 早歩き・軽いジョギング・自転車・水中ウォーキングなど
  • 「少し息が上がるけど会話できる」くらいがベスト
  • 体重が大きく減らなくても、内臓脂肪はしっかり減ることが研究で示されています
    AHA 2021 Scientific Statement

③ 必要に応じたお薬(医師と相談)

脂肪肝(MASLD/MASH)そのものに対して、2025年12月現在、保険適応のある薬は日本にはまだありません。
そのため、薬物療法は「脂肪肝と一緒に起こっている糖尿病・脂質異常症・高血圧・肥満症などの治療」を目的に行い、その副次的な効果として脂肪肝の改善を期待する、という形になります。

  • GLP-1受容体作動薬(例:セマグルチド、リラグルチド、チルゼパチドなど)
    もともとは2型糖尿病や「高血圧・脂質異常症・糖尿病のいずれかを合併した肥満症」の治療薬です。
    臨床研究では、体重減少とともに肝脂肪や肝機能の改善が報告されていますが、脂肪肝そのものを適応とした保険使用はできません
  • SGLT2阻害薬(例:エンパグリフロジン、ダパグリフロジンなど)
    2型糖尿病治療薬として保険適応があります。
    一部の研究で肝脂肪減少や肝酵素改善が報告されていますが、こちらも脂肪肝そのものを適応とした保険使用はできません。
  • ピオグリタゾン(チアゾリジン系)
    2型糖尿病治療薬として保険適応があります。
    過去の研究でNASHの組織学的改善が報告されていますが、脂肪肝そのものを適応とした保険使用はできません
    体重増加・むくみ・心不全リスクなど注意点も多い薬です。

※ここで挙げたお薬はすべて「糖尿病」や「肥満症」などの別の病気を主な適応として保険診療で処方されるものです。
脂肪肝だけを理由に処方することは保険診療では認められていません。
また効果を保証するものではなく、副作用や保険適用の条件があります。
ご希望の方は診察時に個別にご相談ください。

4. 皮下脂肪は落ちにくい ― でも、それで大丈夫です

脂肪吸引などで皮下脂肪だけを減らしても、血糖やコレステロールが必ずしも改善するとは限らず、
一部の研究(非肥満女性対象)では内臓脂肪が相対的に増える可能性も指摘されています。
J Plast Reconstr Aesthet Surg 2023メタ解析

5. 最後に ― 脂肪肝は「改善の可能性がある病気」です

まとめると:

  • 脂肪肝の多くは内臓脂肪が大きく関わっています
  • 内臓脂肪は生活習慣の変化に比較的反応しやすい脂肪です
  • 3〜6ヶ月で肝機能やお腹まわりが改善する方は少なくありません(個人差あり)

診察室で私はいつもこうお伝えしています。

「今の状態は、まだまだ変えていける余白がたっぷり残っていますよ。」

焦らず、一歩ずつ。一緒に始めましょう。

戸塚クリニックでご相談いただけます

  • 脂肪肝・内臓脂肪が心配な方
  • 健康診断の再検査を受けたい方
  • 生活習慣病をトータルで診てほしい方

初めての受診でもスタッフ一同温かくお迎えします。
どうぞお気軽にご連絡ください。

ネット予約はこちら(24時間受付) アクセス・診療時間(公式サイト)

主な参考文献(2025年12月時点)

    • EASL–EASD–EASO MASLDガイドライン 2024
      PDF
  • AHA 2021 Scientific Statement
    リンク
  • GLP-1RAと内臓脂肪(PLOS ONE 2023)
    リンク
  • 脂肪吸引と代謝リスク(J Plast Reconstr Aesthet Surg 2023)
    リンク

※本記事は一般的な医学情報を提供するもので、個別の診断・治療を保証するものではありません。詳しくは診察時にご相談ください。

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