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帯状疱疹ワクチンと認知症予防に、Cell 誌から新しい大ニュース
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【横浜・戸塚駅西口 徒歩10分/駐車場あり】
内科・循環器内科・糖尿病内分泌内科|戸塚クリニック
(院長:村松 賢一)

当院は「内科のかかりつけ」として、
高血圧・糖尿病などの生活習慣病や体調不良、
甲状腺を含む内分泌のご相談まで幅広く対応しています。

予約優先制ですが、予約なしでも受診可能です。
(予約をおすすめする理由は待ち時間を短くするためです。
混雑時はお待ちいただく場合がありますが、症状に合わせて柔軟に対応します)

症状が気になる方は、ご都合のよいタイミングでお越しください。

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横浜・戸塚の「戸塚クリニック」院長の村松賢一です。

このブログでは、世界の一流医学雑誌(Cell、NEJM、Lancet など)や日本の公的資料をもとに、
患者さんに本当に役立つ情報だけを、できる限り正確にお届けしています。

▶ ご予約・当院トップページはこちら
https://www.totsukaclinic.com

(予防接種・健康診断の空き状況もこちらから確認できます)

万一、内容に誤りや更新が必要な点が見つかった場合は、すぐに修正します。
「ワクチン」「認知症予防」「生活習慣病」など、気になることがあれば、どうぞ遠慮なくご相談ください。

最終更新:2025年12月8日

 

■ 今回の内容。結局どういうことなの?(まずは超ざっくり結論)

帯状疱疹ワクチンを打った人は、認知症の「発症」も「進行」も、起こりにくい傾向がある―― そんな非常に大きな研究結果が、医学トップ誌 Cell に掲載されました。

もちろん、「ワクチンを打てば認知症にならない」という意味ではありません。

  • 認知症の発症リスクが 相対で約20%低い
  • MCI(軽度認知障害)も 新規診断が少ない
  • すでに認知症の方でも 認知症死が約30%減
  • 全死亡も約20%減 の方向
  • とくに 女性で効果が大きい

など、「すべての段階が良い方向」にそろった非常に珍しい研究です。

しかも、ウェールズの“自然実験”という手法により、観察研究としては因果に近い強さを持っています。
そして日本では 2025 年から定期接種化。横浜市でも 対象年齢の方に接種が行われています。

ここから先は、原著と WP(ワシントンポストの記事)をもとに、
「なぜそんな結果が出たのか?」「日本ではどう活かせるのか?」を詳しく解説していきます。

 

帯状疱疹ワクチンと認知症予防に、Cell 誌から新しい大ニュース

当院ブログで以前からお伝えしてきたテーマの“続報”です。

当院ブログではこれまでにも、
「ワクチン接種が認知症リスクを下げる可能性」について複数回ご紹介してきました。

ワクチン接種をきっかけに

  • 慢性炎症が減る
  • 帯状疱疹ウイルス(VZV)の再活性化を防げる

といった間接的な効果が、結果的に脳の健康につながるのではないか── そんな研究が世界的に増えてきたためです。

このテーマに、今回ついに「決定打」と言ってよい大ニュースが加わりました。


■ Cell 誌に、帯状疱疹ワクチンと認知症を結びつける大規模研究が掲載

(2025年12月11日号、オンライン先行公開:2025年12月2日)

論文全文(オープンアクセス)は、こちらから読むことができます:
https://www.cell.com/cell/fulltext/S0092-8674(25)01256-5
(DOI: 10.1016/j.cell.2025.11.007)

この Cell 論文をもとに、Washington Post(WP、2025年12月2日)でも大きな特集が組まれ、
世界中の専門家が「これは画期的だ」「ただし慎重に読む必要がある」とコメントしています。

WP の記事(英語)はこちらです:
https://www.washingtonpost.com/wellness/2025/12/02/shingles-vaccine-slow-down-dementia-progression/(リンク先は将来変更・削除される場合があります)

当院では今回、Cell の原著論文と Washington Post の報道の両方を、院長がまとめてレビューし、
誤解なく・過度な期待をあおらない形で整理してお伝えします。


■ 結論:認知症の「発症」も「進行」も、ワクチン接種者では下がる“方向性”

今回の Cell 論文(Xie ら, 2025)は、
帯状疱疹ワクチンを受けた人と、そうでない人を「自然実験」に近い形で比較したものです。

その結果、ワクチン接種群では次のような差が見られました。

  • 新規認知症診断:7 年間の追跡で、相対リスクが約 20% 低い
    (これは同じウェールズのデータを用いた、以前の自然実験研究の結果で、今回の Cell 論文でも紹介されています)
  • 軽度認知障害(MCI)の新規診断:9 年間で 3.1 percentage points 低い
    (95%信頼区間:1.0〜6.2 ポイント、p = 0.007)
  • すでに認知症がある人の「認知症による死亡」:相対リスクが約 29.5%低い
    絶対差で見ると、おおよそ 10 ポイント前後、たとえば「40% → 30%」のようなイメージです。
  • 全ての原因による死亡(全死亡):相対リスクが約 22.7%低い
    こちらも、絶対的な差としては 8〜10 ポイント程度の違いと考えるとイメージしやすいです。

ここで出てくる「percentage points(パーセンテージ・ポイント)」とは、
“パーセントの絶対的な差”のことです。

例えば「10% → 7%になった」場合、

  • 割合自体は 30%減
  • percentage points としては「3 ポイント減った」

なお、今回の Cell 論文は主に

  • MCI(認知症の前段階)
  • 認知症の方の死亡リスク

を 9 年間追跡して詳しく分析しており、
「認知症そのものの新規発症 20%減」という数字は、
同じ研究グループによる “ひとつ前のウェールズ研究” の結果が合わせて紹介されている、という整理になります。

もちろん、

  • 「帯状疱疹ワクチンを打てば認知症にならない」
  • 「必ず進行が止まる」

といった意味ではありません。

あくまで、

  • 認知症の発症が少ない(リスクが低い)傾向
  • 発症後も、進行や死亡リスクが低くなっている傾向

“示唆された”というレベルです。


■ なぜこの研究は「自然実験」として非常に強力なのか?

ウェールズでは一時期、
1933年9月2日以降に生まれた人だけ」が帯状疱疹ワクチンの接種対象になる、という制度がありました。

たった数日の誕生日の違いで「接種できるか・できないか」が決まるため、
生活習慣や健康意識といった違いはほとんどありません。

実際に、Cell 論文ではこの日付を境に

  • ワクチン接種率が 0% → 45.9% に“ジャンプ”
  • その他の予防医療や慢性疾患の有無には大きな段差がない

ことが丁寧に検証されています。

つまり

「たまたま誕生日が基準日をまたいだかどうか」で接種の有無が大きく変わっている

という状況であり、観察研究の中でも、ランダム化試験にかなり近い条件が整ったと考えられます。


■ 段階別に見ても、すべて“良い方向”だった ― 特に女性で効果が大きい傾向

Cell 論文が特に評価されているのは、認知症の「病期ごと」に効果を検証している点です。

1)認知症の前段階(MCI)

→ 9 年間の追跡で、MCI の新規診断が 3.1 percentage points 低い

さらに、女性だけに絞ると、

11.6 percentage points 低い(95%信頼区間:6.2〜17.0 ポイント)

という、より大きな差が報告されています。

2)すでに認知症と診断されている人

→ 認知症が主な原因とされた死亡が、相対的に約 29.5%低い

さらに女性だけを見ると、

相対リスクがおよそ 52.3%低い(95%信頼区間:9.2〜97.9%)

と推定されています。

→ 全ての原因による死亡も、相対的に約 22.7%低い と報告されています。

3)重症の認知症の人

→ 重症例でも、全体として“保護的な方向”の効果が見られたとされています。

性別で分けて解析すると、

  • 女性ではこの保護効果がより大きい傾向
  • 男性でも方向性は同じだが、差はやや小さい

つまり

「発症前」だけでなく「発症後」「重症期」にわたって、病気の経過全体に、ある程度の“守り”が効いている可能性がある

ということになります。

(紙面や画面に余裕があれば、ここに Cell 論文のグラフィカルアブストラクト
「帯状疱疹ワクチンが MCI・認知症診断・死亡の全段階で保護効果を示唆する図」
を挿入していただくと、よりイメージしやすくなります。)


■ なぜ帯状疱疹ワクチンが脳に良い可能性があるのか?

帯状疱疹ウイルス(VZV)は、子どもの水ぼうそうの後、
神経節の中で長い間ひっそりと潜んでいるウイルスです。

加齢や免疫力の低下などをきっかけに再活性化すると、

  • 激しい痛みを伴う帯状疱疹
  • 帯状疱疹後神経痛(長引く痛み)

だけでなく、

  • 脳や脊髄の炎症
  • 小さな脳梗塞のリスク
  • アルツハイマー病に関わるアミロイドやタウ蛋白の異常
  • 免疫老化(免疫システムの“老け込み”)

などへも影響している可能性が、近年の研究で指摘されています。

そのため、帯状疱疹ワクチンによって

  1. VZV の再活性化を減らす
  2. → 慢性的な炎症・血管ダメージを減らす
  3. → 結果として、認知症の発症や進行にも良い影響が出る

という “間接的なルート” が考えられています。

ただしこれは、あくまで現時点での有力な仮説であり、今後の研究でさらに検証が必要です。


■ 研究に使われたワクチンと、日本での実際のワクチン

今回の Cell 論文で扱われたのは、旧来の「弱毒生ワクチン(ZVL:Zostavax)」です。

一方、日本で現在使われている帯状疱疹ワクチンには

  • 組換え不活化ワクチン(シングリックス)
  • Oka株の乾燥弱毒生水痘ワクチン(成人の帯状疱疹予防にも適応)

の二つがあります。Zostavax という製品名のワクチンは、日本では流通していません。

シングリックスは帯状疱疹そのものの予防効果が非常に高いとされ、
海外の専門家は

「認知症リスクへの効果も、同等かそれ以上である可能性がある」

とコメントしています(いずれも WP で紹介されたコメント)。

しかし、

「RZV(シングリックス)でも、今回の ZVL と同じような認知症リスク低下が得られるか」

については、まだ仮説の段階であり、今後の検証が必要です。


■ 日本での接種対象と、2025年度からの“定期接種”について ― 横浜市の例をまじえて

現時点(2025年)で、日本におけるシングリックスの基本的な適応は

  • 50歳以上(ハイリスク成人 18歳以上も可)

とされています。実際に接種できるかどうかは、年齢・持病・薬などを踏まえて、個別に評価します。

2025年度から「定期接種」に

日本全体としては 2025 年度から、帯状疱疹ワクチンが公費による「定期接種」として正式に位置づけられました。

横浜市では、

  • 2025年7月1日 〜 2026年3月31日の期間に
  • その年度に 65歳 になる方
  • その他の年齢でも経過措置あり(詳細は横浜市のホームページなどをご確認ください)
  • 重い基礎疾患などをお持ちの 60〜64歳 の方

を対象とした帯状疱疹ワクチンの定期接種(公費助成あり)が始まっています。

自己負担額の目安

自己負担額については自治体によって差がありますが、たとえば

  • 全国的には、自治体や医療機関によって自己負担額に幅があり、
    おおむね数千円〜2万円台(〜22,000円程度) の範囲です。
    (例:ある自治体では、自己負担上限が 22,000円前後となっているケースがあります)
  • 横浜市では
    ・生ワクチンは 1回 4,000円
    ・シングリックスは 1回 10,000円(2回接種で合計 20,000円) 程度
    とされています。
    (生活保護・住民税非課税の方などは、さらに軽減または免除される場合があります)

※いずれも 2025年12月時点の情報であり、今後変更される可能性があります。

横浜市では、対象となる年齢の方には事前に予診票などが郵送され、
60〜64歳の方は、身体障害者手帳などの条件により対象となる場合があります。

細かな対象年齢や年度ごとの経過措置は、今後の制度改正などにより変更されることがあります。
最新の情報は横浜市の公式ページや、当院にお問い合わせいただき、ご確認ください。

「自分が定期接種の対象になるのか」
「自己負担はいくらくらいになりそうか」
「生ワクチンと不活化ワクチン、どちらが自分に向いているか」

といった点は、お住まいの自治体によって異なりますので、
当院にお問い合わせいただければ、横浜市の最新情報もふまえてご説明いたします。


■ 専門家の反応と、この研究の“限界”

Washington Post(WP)では、複数の専門家が次のようにコメントしています。

  • 「もし本当なら、認知症分野で歴史的なブレークスルーになる」(オックスフォード大)
  • 「効果が大きすぎるため、逆に慎重に解釈したい」(同 Taquet 氏)
  • 「病期全体にわたって保護的に働いているように見える」(ハーバード大 Jena 氏)

一方で、この研究にも限界があります。

  • 解析に使われたのは ZVL(生ワクチン)のデータで、RZV(シングリックス)で同じ効果があるかは未検証
  • 統計的な“差”には幅があり、性別や年齢による違いも今後さらに検討が必要
  • 自然実験としては非常に優れたデザインだが、厳密な意味で「因果関係が証明された」とまでは言えない

こうした点をふまえて、

「帯状疱疹ワクチンは、認知症の発症や進行に良い影響を与える“可能性が高い”」

という、慎重な表現で受け止めるのが妥当だと考えられます。


■ 院長より:認知症予防は“積み上げ”の結果です

認知症を完全に防ぐ魔法の薬は、まだ存在しません。
しかし私たちは、

  • 毎日の運動習慣
  • 良い睡眠
  • 血圧や血糖のコントロール
  • バランスの良い食事
  • そして、帯状疱疹ワクチンを含む「感染症予防」

といった“積み上げ”の中で、少しずつ脳を守る選択を続けていくことができます。

今回の Cell 論文は、その中の一つとして

「帯状疱疹ワクチンが、認知症の発症や進行をゆるやかにする可能性」

を示した、非常に心強い報告でした。

今後も新しいエビデンスを追いながら、必要に応じてこの記事もアップデートしていきます。


■ 帯状疱疹ワクチン(シングリックス/生ワクチン)のご相談とご予約について

当院では、

  • 組換え不活化ワクチン(シングリックス)
  • Oka株の乾燥弱毒生水痘ワクチン(成人適応)

のいずれについても、年齢や持病をふまえてご相談をお受けしています。

・接種したいが、どのワクチンが自分に合うか迷っている
・定期接種の対象になるのか知りたい
・持病や服薬があり、接種して良いか不安だ

という方は、どうぞ遠慮なくご相談ください。

▶ 当院ホームページはこちら
https://www.totsukaclinic.com

(診療時間:平日(木曜日を除く)9:30〜12:30/15:00〜18:00、木曜は 午後診療のみで15:00〜20:00 まで、土曜 9:00〜12:00)

「まずは相談だけしたい」という方も大歓迎です。
一緒に、無理のないかたちで脳と身体を守る選択肢を考えていきましょう。

※ワクチン在庫や定期接種の詳細は、制度改正などにより変更されることがあります。
 最新の状況については、当院サイトでご確認ください。

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