2025/12/24
【横浜・戸塚駅西口 徒歩10分/駐車場あり】
内科・循環器内科・糖尿病内分泌内科|戸塚クリニック
(院長:村松 賢一)
当院は「内科のかかりつけ」として、
高血圧・糖尿病などの生活習慣病や体調不良、
甲状腺を含む内分泌のご相談まで幅広く対応しています。
予約優先制ですが、予約なしでも受診可能です。
(予約をおすすめする理由は待ち時間を短くするためです。
混雑時はお待ちいただく場合がありますが、症状に合わせて柔軟に対応します)
症状が気になる方は、ご都合のよいタイミングでお越しください。
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【ADA 2026ガイドライン改訂版】
糖尿病と心不全予防:SGLT2阻害薬とGLP-1/チルゼパチド(マンジャロ®)の役割分担
【冒頭追記】
※本記事は2025年12月15日に一度投稿しましたが、直前の2025年12月8日に公表された「米国糖尿病学会(ADA)2026年版ガイドライン」に基づき、内容を精査・再検討しました。
特に「肥満を伴う心不全(HFpEF)」に対する薬物治療の位置づけが整理されたため、その内容を反映した改訂版として再掲しています。
さらに、2025年12月22日の新情報として、フィネレノン(ケレンディア®)が慢性心不全の適応追加承認を取得したことを受け(効能:「慢性心不全 ただし、慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限る」)、実臨床での位置づけを更新しています。
(参考)ADA 2026 目次:diabetesjournals.org/care/issue/49/Supplement_1
根拠となる公式文献:
1. Summary of Revisions(doi:10.2337/dc26-SREV)
2. Section 10(doi:10.2337/dc26-S010)
はじめに
こんにちは。横浜市戸塚区の戸塚クリニック院長、村松賢一です。
当院では、糖尿病・心臓・腎臓を切り離さず、まとめて管理する診療を大切にしています。
診察室では、次のような質問をよく受けます。
先生、最近話題の“痩せる糖尿病薬”(GLP-1やマンジャロ)と、尿に糖を出す薬(SGLT2)、心不全の予防にはどちらが合っていますか?
ADA 2026年版では、この問いに対する考え方が整理されました。
本記事では、改訂内容を患者さん向けに噛み砕いて解説します。
まず知っておきたい:心不全は3つに分けて考えます
- HFrEF(ヘフレフ):心臓の押し出す力が弱くなったタイプ
- HFpEF(ヘフペフ):押し出す力は保たれているが、心臓が硬くなり血液が入りにくいタイプ(肥満・糖尿病・高血圧と関係が深い)
- HFmrEF(ヘフエムレフ):その中間(駆出率41〜49%)
ADA 2026では、この3タイプすべてでSGLT2阻害薬を治療の「土台」と位置づけています。
【ざっくり整理】この話の結論だけ先に
- まず土台はSGLT2阻害薬(心不全タイプを問わず)
- そのうえで、「肥満を伴う症状のあるHFpEF」では
チルゼパチド(マンジャロ®)やGLP-1受容体作動薬が「上乗せ」の選択肢として整理されました - さらに、背景(特にCKDなど)により、フィネレノン(ケレンディア®)が検討されます
【不動の基本】SGLT2阻害薬は心不全治療の土台
SGLT2阻害薬は、もともと糖尿病治療薬ですが、現在では心不全による入院を抑える基本薬として位置づけられています。
代表的な薬剤
- ジャディアンス®(エンパグリフロジン)
- フォシーガ®(ダパグリフロジン)
ADA 2026では、HFrEF・HFpEF・HFmrEFのすべての心不全タイプで「強く勧められる治療(Grade A)」と整理されています。
Grade A / B って何?(患者さん向けの目安)
- Grade A:多くの患者さんに勧められる(根拠が強い)
- Grade B:条件によって勧められる(根拠はあるがAより弱い)
【2026年改訂の要点】肥満を伴うHFpEFへの治療整理
対象となる方
- 2型糖尿病がある
- 肥満を伴う
- 息切れなどの症状があるHFpEF
チルゼパチド(マンジャロ®)とGLP-1受容体作動薬
推奨の整理(ADA 2026)
- ① 心不全の悪化(入院など)を抑える目的
・チルゼパチド(マンジャロ®):Grade A
・GLP-1受容体作動薬:Grade B - ② 息切れなどの症状改善
・両者とも:Grade A
根拠となる研究(数字は“結果の理解”のために最小限)
- SUMMIT試験(チルゼパチド)
肥満を伴うHFpEFで、心血管死や心不全悪化のリスクがおよそ4割(約38%)少なかった(HR 0.62)と報告されています。 - STEP-HFpEF DM試験(GLP-1)
息切れなどの症状、体重、歩行能力が有意に改善しました。
【日本での注意】
マンジャロ®およびGLP-1受容体作動薬は、日本では2型糖尿病の治療薬として承認されています。
心不全のみを目的とした使用は保険適応外となる場合があり、実際の使用は医師が個別に判断します。
CKD(慢性腎臓病)とは? なぜ心不全と関係する?
CKD(慢性腎臓病)は、腎臓の働きがゆっくり低下している状態です。
糖尿病のある方では特に多く、
- 腎臓が悪くなると心不全が悪化しやすい
- 心不全があると腎臓もさらに悪くなりやすい
という悪循環が起こりやすくなります。
そのため、近年は「心臓と腎臓を一緒に守る治療」が重視されています。
フィネレノン(ケレンディア®)について(nsMRA)【2025年12月22日新情報】
2025年12月22日、フィネレノン(ケレンディア®)は慢性心不全の適応追加承認を取得しました(効能:「慢性心不全 ただし、慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限る」)。
FINEARTS-HF試験では、EFが保たれた心不全(EF≥40%)において、
心不全の悪化や心血管死が有意に少なかった(16%程度の低下:RR 0.84)と報告されています。
【日本での注意】
フィネレノン(ケレンディア®)は、元々「糖尿病性腎症を有する2型糖尿病患者」の心腎リスク低減を目的として承認されていましたが、今回の追加により慢性心不全(標準治療を受けている患者)への使用が可能となりました。
実際の診療では(積み上げの考え方)
- 土台: SGLT2阻害薬(心不全タイプを問わず)
- 上乗せ: 肥満・症状があればチルゼパチド/GLP-1
- 背景により: CKDなどを合併していればフィネレノンを検討
当院では、心臓・腎臓・代謝を一体として評価し、患者様一人ひとりに合った治療を組み立てます。
おわりに(重要な注意)
本記事は、一般的な医学情報の提供を目的としています。
自己判断で薬を中止・変更するためのものではありません。
日本では保険適応や使用条件が異なる場合があり、
実際の治療は
日本循環器学会のガイドライン等も踏まえ、
医師が個別に判断します。
これらは心不全のサインかもしれません
- 少し動くと息切れがする
- 足のむくみや体重増加
- 夜間の息苦しさ
気になる方は、ぜひご相談ください。
