横浜市戸塚区の戸塚クリニック|内科・循環器内科・糖尿病・内分泌内科・甲状腺

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「産めない」は努力不足?英医学誌Lancetが科学的に否定した「自己責任論」
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【横浜・戸塚駅西口 徒歩10分/駐車場あり】
内科・循環器内科・糖尿病内分泌内科|戸塚クリニック
(院長:村松 賢一)

当院は「内科のかかりつけ」として、
高血圧・糖尿病などの生活習慣病や体調不良、
甲状腺を含む内分泌のご相談まで幅広く対応しています。

予約優先制ですが、予約なしでも受診可能です。
(予約をおすすめする理由は待ち時間を短くするためです。
混雑時はお待ちいただく場合がありますが、症状に合わせて柔軟に対応します)

症状が気になる方は、ご都合のよいタイミングでお越しください。

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少子化は「個人の努力不足」ではなかった。
医学誌Lancetが突きつけた3つの真実

信頼できる医師のポートレート

こんな思いを抱えていませんか?

  • 「自分の努力が足りないのでは」と自分を責めている
  • 仕事と妊活の両立に限界を感じている
  • 「少子化」のニュースを見るたびに息苦しさを感じる

横浜・戸塚の内科クリニック、院長です。

結論からお伝えします。
少子化や不妊は、「個人の意識」や「努力不足」だけでは説明できません。

2025年、世界最高峰の医学誌 The Lancet(ランセット) 系列誌は、少子化を①男性の健康、②女性の健康、③社会構造という3つの視点から分析し、「産めなかった人を責める説明は、科学的整理と必ずしも一致しない」という事実を示しました。

この記事では、その内容を内科医の視点から、できるだけ分かりやすく解説します。


結論:少子化は「産まない人が増えた」だけではない

少子化が語られるとき、「若者の意識が変わった」「価値観が多様化した」という言葉で片付けられることが少なくありません。

しかし、Lancetが発表した Low Birth Rate Series は、それだけでは説明が不十分であることを示唆しています。

少子化とは、「産めるはずだった可能性」が、
健康と社会の両面から削られていった結果である。

本来なら実現し得た妊娠の可能性が、健康や社会条件によって狭められている――医学的には、そう捉える方が自然なのです。
Lancetはこれを、以下の3つの層で整理しました。


① 男性の健康:見過ごされてきた「半分の真実」

まず、最も重要で、これまで十分に語られてこなかった事実です。
カップルの不妊の約半数で、男性側にも原因が関与するとされています。

Lancetのレビューでは、日本を含む西太平洋地域の不妊有病率は約23%と推計されており、世界平均(約18%)よりも高いことが示されています。その重要な寄与因子の一つが、精子の質(機能)の低下です。

精子濃度の長期低下という現実

図1:精子濃度の世界的低下(1973 vs 2018)

1973年101.2 million/mL
 
2018年 35.3 million/mL (約65%減)
 

(出典:The Lancet, Male infertility Fig.1c データより作成)

論文では、Levineらのデータを引用し、過去約50年間にわたる精子濃度の低下が示されています。 解析期間(1973〜2018年)において、精子濃度の一貫した減少が示されています。

大きな減少傾向が続いていることが分かります。
重要なのは、これが「遺伝」や「体質」だけで説明できる問題ではない、と整理されている点です。

Lancetは、精子の質と関連しうる要因として、次を挙げています。

  • 喫煙・過度なアルコール
  • 身体活動の不足・肥満
  • 環境汚染物質
  • メンタルヘルスや飲酒を含む生活習慣上の要因

つまり男性不妊は、「男性の健康管理や生活習慣病予防が、社会的に後回しにされてきた影響」という側面も含んでいる可能性が指摘されているのです。


② 女性の健康:「産めないのは自己責任」への疑問

女性の妊娠力(妊孕性)は、「年齢」や「努力」だけで語られがちです。
しかしLancetは、女性の健康と妊娠力は個人の努力を超えた「二重構造」で決まると整理しています。

女性の健康の決定要因図
図2:女性の健康と妊孕性を決める要因
女性の健康は「個人の生活習慣(内側)」だけでなく、「社会・環境要因(外側)」によって大きく左右されます。(出典:The Lancet, Women’s health and female fertility Figure 1 を基に作成)

個人レベルの要因

  • 食事・栄養
  • 身体活動・睡眠・メンタルヘルス
  • 体重、代謝、炎症、インスリン抵抗性

社会・環境レベルの要因

  • 社会経済的状況(教育・収入など)
  • 環境汚染物質
  • 慢性的な社会的ストレス

論文は、「女性の健康は、身体的・心理的・社会的環境の総合的な結果である」と結論づけています。
これは、「産めないのは自己管理が足りないからだ」という説明が、医学的整理と一致しにくいことを示唆しています。

日本を含むアジア太平洋地域では、肥満や代謝異常だけでなく、環境汚染や長時間労働、メンタルヘルスなどが複合的に妊孕性(妊娠する力)に影響していることが指摘されています。


③ 社会構造:「産まない」のではなく「産めなくなる」社会

なぜ日本を含む東アジアで、これほど少子化が進んだのでしょうか。
Lancetの社会分析論文が提示したのが、「非対称な適応(Asymmetric Adaptation)」という考え方です。

教育水準の向上や女性の社会進出といった「近代化」は急速に進みました。一方で、長時間労働、育児支援、ジェンダー規範などの社会制度は同じ速度で変わりませんでした。

このミスマッチが、「産みたいと考える前に、産める条件が失われていく」状況に関連していると考えられています。日本のような超低出生率国では、以下のような要因が複雑に絡み合っていると指摘されています。

  • コスト集約型の子育て規範(教育費・住宅費など)
  • 住宅の不安定さ(housing precarity)
  • 仕事と家庭の葛藤(work-family conflict)

結論:少子化は「健康と社会の複合的な課題」

Lancetのシリーズ全体が示唆しているのは、次の3つが同時に進行しているという事実です。

  • 男性の健康低下(精子の質の低下と関連する要因)
  • 女性への過剰な健康・心理的負荷
  • 社会制度の適応遅れ

少子化は、個人のわがままでも、意識の問題でもありません。
社会全体と人々の健康が同時に弱っている「複合的な課題(あるいは複合疾患のような状態)」――そう捉える方が、科学的整理に近いと考えられます。

だからこそ、内科医として提案したいのは「健康管理から始めるプレコンセプションケア(将来の妊娠のための健康づくり)」です。


よくあるご質問(Q&A)

Q. 婦人科ではないのに、将来の妊娠について相談してもいいですか?

A. はい、もちろんです。
妊娠の土台は、栄養(貧血・ビタミンD)、甲状腺機能、血糖や代謝、体重、睡眠などの全身状態です。内科は、これら全身状態を評価し整える役割を担う診療科です。必要に応じて専門科と連携します。

Q. 男性(パートナー)は何を診てもらえますか?

A. 体重・血圧・血糖・脂質、喫煙や飲酒、睡眠やストレスなどを確認します。精液検査は泌尿器科へ紹介しつつ、内科では体調面のサポートを行います。

Q. 検査や費用はどれくらいですか?

A. 症状(疲れやすい、月経不順など)や既往がある場合は保険適用となることが多く、検査内容に応じた負担額となります。自費検査の場合は項目により1万円台からとなることがあります。

※受診の際は、マイナンバーカード(または資格確認証)をご持参ください。
※検査内容や適用可否により費用は変動します。詳細は受診時にご相談ください。


横浜・戸塚の診察室から伝えたいこと

もし今、妊娠や将来のことについて悩んでいるなら、どうか自分たちだけを責めないでください。

Lancetの論文は、その悩みが「個人の失敗」だけでは説明できないことを示しています。

内科クリニックとして、不妊治療そのものは行いませんが、その背景に関わりうる体の不調を見つけ、整えるお手伝いはできます。

まずは、日常の体調管理を相談する感覚で、ご自身とパートナーの健康状態について考えるところから始めてみてください。

参考文献

※本記事は一般的な医学情報の提供を目的としています。個別の症状については医師にご相談ください。

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