2026/01/12
【横浜・戸塚駅西口 徒歩10分/駐車場あり】
内科・循環器内科・糖尿病内分泌内科|戸塚クリニック
(院長:村松 賢一)
当院は「内科のかかりつけ」として、
高血圧・糖尿病などの生活習慣病や体調不良、
甲状腺を含む内分泌のご相談まで幅広く対応しています。
予約優先制ですが、予約なしでも受診可能です。
(予約をおすすめする理由は待ち時間を短くするためです。
混雑時はお待ちいただく場合がありますが、症状に合わせて柔軟に対応します)
症状が気になる方は、ご都合のよいタイミングでお越しください。
▶ WEB予約(24時間受付)
https://wakumy.lyd.inc/clinic/hg08287
▶ クリニック案内
https://www.totsukaclinic.com
ニューヨークで足を止めた、ひとつの言葉
――「Less sick time. More together time.」が教えてくれた、感染症とのちょうどいい距離感
2026年1月11日。
この冬、ニューヨークを訪れた際のことです。
街のリズムが少し緩む時間帯、地下鉄構内を歩いていると、ふと視線を引き寄せられる広告がありました。

撮影者:戸塚クリニック 院長 村松賢一
NYC Health公式「Don’t Miss Out」キャンペーンポスター(2025年12月15日開始、ホリデーシーズン向け公衆衛生啓発素材)。
出典:NYC Health / nyc.gov
※本記事ではキャンペーンの趣旨やメッセージを解説・紹介する目的で、非営利・教育的文脈において掲載しています。
“Less sick time. More together time.”
(病気で過ごす時間を減らして、いっしょに過ごす時間を増やそう)
ピンク色の背景に、食事を楽しむ中高年のご夫婦。
強い警告も、恐怖を煽る言葉もありません。
ただ、その下には、こう書かれていました。
COVID-19、インフルエンザ、RSVは、数日から数週間、生活を止めてしまうことがある。
でも、大切なものを守る方法はたくさんある。
なぜか、その前で足を止めてしまいました。
Don’t Miss Out ― ニューヨーク市が「感染症」をこう語った理由
実はあのポスターは、ニューヨーク市保健局(NYC Health)が2025年12月15日からホリデーシーズンに合わせて始めた「Don’t Miss Out(大切な時間を逃さない)」キャンペーンの一枚でした。
このキャンペーンは、
- 約100万ドル規模の投資
- デジタル広告・ラジオ・屋外広告を組み合わせ
- 約4週間にわたって集中的に実施
された、市全体のメディアキャンペーンです。
特徴的なのは、ワクチン接種や自宅療養、日常のマナーといった行動を、「義務」や「恐怖」ではなく、「大切な家族や友人との時間を守るための“選択”」として提示している点です。
感染症対策を、我慢や自己犠牲ではなく、人生の時間を守る行為として語っている。
そこに、この街らしい現実感を感じました。
なぜ「優しい言葉」が選ばれたのか
Don’t Miss Out キャンペーンでは、
- 感染者数
- 危険性の強調
- 不安を煽る表現
は、ほとんど前面に出てきません。
代わりに描かれているのは、家族との食事、友人との会話、学校行事や仕事、地域でのつながりといった、失って初めて気づく「日常の時間」です。
感染症はゼロにはできない。
でも、重症化を防ぎ、長引かせず、大切な予定を守ることはできる。
ニューヨーク市は、「恐怖で人を動かす」のではなく、「後悔を減らすために備える」という姿勢を、あえて選んだのだと思います。
マンハッタンは、私にとって「医師としての原点」です
実はニューヨーク、特にマンハッタンは、私が医師としての価値観を形づくった原点の場所でもあります。
多様な文化、異なる医療観、そして「個人の人生と社会を同時に守る医療」という考え方。
その経験については、こちらの記事で詳しく書いています。
だからこそ今回、ニューヨーク市が感染症対策を「恐れ」ではなく「時間の価値」から語っている姿勢に、強い納得感を覚えました。
戸塚の診察室でも、同じことが起きています
戸塚で診療をしていると、よく伺う声があります。
- 「熱は下がったけど、だるさがなかなか抜けない」
- 「咳が長引いて、仕事に集中できない」
- 「家族にうつしてしまったかもしれない」
そして、ときどきあとから強く心に残るケースがあります。
「予防していれば…」と後から悔やまれる瞬間
たとえば、インフルエンザにかかってしまい、修学旅行に行けなかったというお子さんのケース。
何ヶ月も前から準備して、友達と心待ちにしていた大切な行事。
バスの中でのおしゃべりや、夜の星空を想像しながら迎えたはずの時間でした。
「あのとき、もう少し早く受診していれば」
「予防接種を受けていれば、違ったかもしれない」
「無理をさせず、最初から休ませていれば」
と、ご家族が言葉をこぼされることがあります。
誰かが悪いわけではありません。
それでも残ってしまう、取り戻せない時間への後悔です。
感染症で本当に辛いのは、症状そのもの以上に、失われてしまう「時間」なのだと、こうした場面で改めて感じます。
2025年秋は「準備が間に合わなかった」年でもありました
2025年の秋、日本ではインフルエンザの流行が例年より早く始まりました。
実際に、9月の段階で“シーズン入り”を示す指標を超えた地域もあり、「まだ大丈夫だと思っていたら、一気に広がった」という声を多く耳にしました。
- 「例年どおり、もう少し後で予防接種を考えていた」
- 「準備を始めたときには、すでに周囲で感染者が出ていた」
これは誰かの判断ミスというより、流行の立ち上がりが早かったという側面が大きいと思います。
広告に、実際に書かれていた「行動」
あの地下鉄広告は、雰囲気や言葉だけのメッセージではありませんでした。
- ワクチンを受けること
- 体調が悪いときは、無理をせず家で休むこと
- 咳やくしゃみのマナーを守ること
- 必要な場面ではマスクを着用すること
- こまめに手を洗うこと
どれも特別な対策ではありません。
むしろ、ここ数年で私たちが身につけてきた、ごく当たり前の行動です。
ただ、それらは「守らなければならない義務」ではなく、「大切な時間を逃さないための選択肢」として提示されていました。
読んでくださったあなたへ
感染症対策は、「誰かのために我慢すること」や「完璧を目指して疲れ切ること」ではありません。
大切な予定を守るため。
家族や周囲の人を思うため。
そして、自分自身をこれ以上つらくしないため。
そのための、とても実用的で、前向きな選択です。
もし今、少しでも迷いがあるなら、
それ自体が、行動を考えるサインなのだと思います。
院長として、最後にひとつだけ
ニューヨークで出会った “Less sick time. More together time.” という言葉は、
「無理をしない」
「早めに手を打つ」
「当たり前の対策を、丁寧に続ける」
ことの大切さを、とても穏やかに教えてくれました。
体調に少しでも不安を感じたときは、どうぞ遠慮なく、早めにご相談ください。
一緒に、“大切な時間を逃さない選択”を、していきましょうね。
※本記事は一般的な医学情報の提供を目的としており、個別の診断・治療を行うものではありません。症状や持病のある方は、かかりつけ医・主治医にご相談ください。
