2026/03/11
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内科・循環器内科・糖尿病内分泌内科|戸塚クリニック
(院長:村松 賢一)
当院は「内科のかかりつけ」として、
高血圧・糖尿病などの生活習慣病や体調不良、
甲状腺を含む内分泌のご相談まで幅広く対応しています。
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インフルエンザB型とA型の違い:症状・流行パターン・受診の目安(神奈川)
戸塚クリニック(内科・循環器内科・糖尿病内分泌内科)
※本記事は 2026年3月11日現在、神奈川県衛生研究所のインフルエンザ情報・ARI情報、および主要な国際医学文献・診療ガイドラインに基づいて更新しています。
※本記事は一般的な医療情報の提供を目的としており、個別の診断・治療を行うものではありません。症状や持病のある方は、実際の診察で総合的に判断します。
先に結論
今シーズンのインフルエンザでは、A型とB型が混在して流行します。
症状だけでA型・B型を見分けることはほぼ不可能ですが、流行パターンや検査の考え方には違いがあります。
神奈川県では、インフルエンザ定点報告は第6週に55.76でピークを迎えた後、第9週には21.72まで低下しました。
ただし、県の運用では発出された警報は定点当たり報告数が10を下回るまで継続されるため、「ピークを過ぎた」ことと「もう安心」は同じではありません。
ポイント:
とくに発熱外来を受診される方の多い戸塚・横浜エリアでも、学校や家庭を起点とした感染拡大には引き続き注意が必要です。
A型・B型は「ウイルスとして何が違う?」
インフルエンザA型とB型は、どちらもインフルエンザウイルスですが、ウイルス学的にはいくつかの性質の違いがあります。
- A型:人だけでなく鳥や豚など動物にも感染し、遺伝子変異(大規模流行の原因となりうる)が起こりやすい
- B型:主として人に感染し、変異はA型より穏やかです(動物感染の報告はごく限られています)
- A型は流行初期に急速に広がりやすい一方、B型は後半に持続的に広がる傾向があります
ただし、「B型だから症状が軽い」ということはありません。
実際の診療では、型そのものよりも、年齢・基礎疾患・症状の強さ・脱水や呼吸状態などを総合して判断することが重要です。
神奈川県の流行状況(2026年3月時点)
神奈川県衛生研究所の2026年3月作成資料では、2025/26シーズンは第5週で再度警報レベルを超え、第6週に55.76でピークを迎えた後、第9週は21.72まで低下したと整理されています。
- 第5週:36.56(再び警報レベル超え)
- 第6週:55.76(シーズンピーク)
- 第9週:21.72(低下したが、なお高い水準)
- 警報:報告数が10を下回るまで継続
また、ARI(急性呼吸器感染症)サーベイランスでは、2026年第9週の定点当たり報告数は全国64.96、神奈川県全体68.97、県域71.70でした。
ここでいう「県域」とは、横浜市・川崎市・相模原市を除いた神奈川県内地域を指します。
学校・家庭での流行はまだ続いています
神奈川県の第6週データでは、学級閉鎖等のあった保育所・学校等は583施設、患者数は13,129名でした。
年齢別では、小児科定点の報告は5〜9歳が最多、内科定点の報告は10〜14歳が最多とされています。
流行の中心は引き続き学童期の子どもたちであり、家庭内に持ち込まれて家族へ広がる形にも注意が必要です。
A型とB型の違い(患者さんが知っておきたいポイント)
- 発熱、咳、のどの痛み、頭痛、筋肉痛などの症状はほぼ同じ
- 症状だけでA型・B型を区別することはできない
- B型は小児・若年層で多くみられやすい
- B型はシーズン後半(1〜3月)に増えやすい
これらの特徴は、Lancet誌の総説(Uyekiら, 2022)や複数の臨床研究でも一貫して報告されています。
神奈川県では今どんな型が多い?(2026年3月更新)
神奈川県の資料では、今シーズンの主な流行はA型(とくにA/H3)中心と整理されています。
一方で、B型も混在しており、シーズン後半の小児集団や家庭内ではB型を疑う場面もあります。
- A/H1:1件
- A/H3:55件
- B:5件
※県衛生研究所実施分・2026年2月13日時点速報値
つまり、現状の整理としては、「A型主体の流行が続きつつ、B型も混在するシーズン」と理解するのが自然です。
患者さんにとって本当に重要なのは、「A型かB型か」よりも、
- 発熱の程度
- 周囲の流行状況(学校・家庭・職場)
- 基礎疾患の有無
- 発症からの時間
を踏まえて受診のタイミングを判断することです。
B型の系統と「3価ワクチン」への変更
インフルエンザB型には、かつて「B/Victoria系統」と「B/Yamagata系統」の2系統が存在していました。
しかし、B/Yamagata 系統は2020年以降、世界的に野生株が確認されておらず、系統的レビューでは「probable extinction(事実上の消失)」と評価されています。

この状況を受け、2025–26シーズンから日本の季節性インフルエンザワクチンは、3価(A型2種+B/Victoria)へ変更されています。
少し専門的ですが:A/H3N2に関するJAMA論文
少し専門的な内容ですが、要点はシンプルです。
最近のA/H3N2変異株では、従来ワクチンに対する抗体反応がやや弱い可能性がある、ただしワクチンが無効という意味ではない、ということです。
JAMAに2026年3月9日オンライン公開されたリサーチレターでは、Influenza A(H3N2) subclade K に対するワクチン誘導抗体反応が検討されました。
この論文では、subclade Kはワクチン株 A/H3N2/Croatia/10136RV/2023 と比べて、ヘマグルチニンに11個の変異を持つとされ、2026年2月時点の米国ではインフルエンザAが流行株の約96.3%、そのうちH3N2が88.4%、さらにその91.5%がsubclade Kと報告されています。
ワクチン接種後、従来のH1N1やH3N2株では中和抗体価の幾何平均抗体価比(GMT比)が約2.86〜2.99倍上昇したのに対し、H3N2 subclade Kでは1.70〜1.98倍と、上昇幅はやや小さくなっていました。
つまり、A/H3N2の新しい変異株では、従来株より抗体反応が弱い可能性があります。
ただし論文でも、ワクチンで抗体は上昇しており、完全に無効という意味ではないと解釈されています。
また、この話は「今から接種すべきか」を単純に決める材料ではなく、すでに接種済みの方の重症化予防効果や、次シーズンに向けたワクチン設計の課題として理解するのが適切です。
Wang L, et al. Vaccine-Elicited Antibody Responses to Influenza A(H3N2) Subclade K. JAMA. Published online March 9, 2026.
検査が「陽性になる人」と「陰性になる人」がいる理由
同じように発熱して受診しても、迅速抗原検査が陽性になる人、陰性になる人がいます。
その最大の理由は「ウイルス量(Viral Load)」と「タイミング」の関係です。

① ウイルス量とタイミング
インフルエンザでは、上気道のウイルス量は発症0〜2日でピークに達します。
一般的にA型では比較的早く減少しますが、B型ではやや長めに高いウイルス量が続く傾向があるという報告があります。
IDSA(米国感染症学会)ガイドラインでは、発症初期、特に発症後48時間以内の検査が実臨床上重要とされます。
発症から早い時期ほど検査の解釈には注意が必要ですが、症状が強い場合は「まだ早いから受診しない」と自己判断しすぎないことも大切です。
ただし、一般的な迅速抗原検査では感度はおおむね50〜70%程度にとどまります。
要するに、「検査が早すぎて陰性(偽陰性)」となるケースは医学的に十分にあり得るため、陰性結果だけで安心せず、医師の判断を仰ぐことが重要です。
※検査結果は、ウイルス量・採取タイミング・検査感度・年齢や免疫状態(宿主因子)などの要因が複合的に重なって決まります。
関連ブログ
受診の目安
- 高熱や強い倦怠感がある
- 周囲(家庭・学校・職場)でインフルエンザが流行している
- 基礎疾患があり重症化が心配(心臓や血管の病気、糖尿病、慢性肺疾患、免疫低下など)
- 息苦しさ、ぐったりして水分がとれない、意識がぼんやりする等がある
「忙しいから様子を見よう」と無理をせず、心配な場合は早めに戸塚・横浜の発熱外来でご相談ください。
当院からのご案内
当院では、症状・発症時期・重症化リスクを踏まえ、
適切な検査タイミングと治療方針をご提案しています。
発熱や感染症症状がある場合は、
以下より受診方法をご確認ください。
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参考文献
- Influenza.
Uyeki TM, et al. The Lancet. 2022.
https://doi.org/10.1016/S0140-6736(22)00982-5 - Clinical Practice Guidelines by the Infectious Diseases Society of America: 2018 Update on Diagnosis, Treatment, Chemoprophylaxis, and Institutional Outbreak Management of Seasonal Influenza.
Uyeki TM, et al. Clin Infect Dis. 2019.
https://doi.org/10.1093/cid/ciy866 - Probable extinction of influenza B/Yamagata and its public health implications.
Caini S, et al. The Lancet Microbe. 2024.
https://doi.org/10.1016/S2666-5247(24)00066-1 - Clinical Characteristics Are Similar Across Type A and B Influenza Virus Infections.
Mosnier A, et al. PLoS One. 2015.
https://doi.org/10.1371/journal.pone.0136186 - Recommendations for Prevention and Control of Influenza in Children, 2025-2026.
Committee on Infectious Diseases. Pediatrics. 2025.
https://doi.org/10.1542/peds.2025-073622 - Vaccine-Elicited Antibody Responses to Influenza A(H3N2) Subclade K.
Wang L, et al. JAMA. Published online March 9, 2026.
https://doi.org/10.1001/jama.2026.2173 - 神奈川県 ARI情報 2026年9週.
神奈川県衛生研究所.
https://www.pref.kanagawa.jp/sys/eiken/003_center/0005_ryukou/ARI/260309_ARI_09w.html - 神奈川県 インフルエンザ情報(20)6週(令和8年2月20日更新).
神奈川県衛生研究所.
https://www.pref.kanagawa.jp/sys/eiken/003_center/0005_ryukou/influenza/260216_influenza_20.html
