2025/12/23
【横浜・戸塚駅西口 徒歩10分/駐車場あり】
内科・循環器内科・糖尿病内分泌内科|戸塚クリニック
(院長:村松 賢一)
当院は「内科のかかりつけ」として、
高血圧・糖尿病などの生活習慣病や体調不良、
甲状腺を含む内分泌のご相談まで幅広く対応しています。
予約優先制ですが、予約なしでも受診可能です。
(予約をおすすめする理由は待ち時間を短くするためです。
混雑時はお待ちいただく場合がありますが、症状に合わせて柔軟に対応します)
症状が気になる方は、ご都合のよいタイミングでお越しください。
▶ WEB予約(24時間受付)
https://wakumy.lyd.inc/clinic/hg08287
▶ クリニック案内
https://www.totsukaclinic.com
アセトアミノフェン(カロナール®・タイレノール®)と妊娠中の使用
― お子さんの発達への影響について ― 2025年12月23日現在
結論からお伝えします。
2025年12月23日現在、妊娠中にアセトアミノフェン(カロナール®・タイレノール®など)を使用したことが、お子さんの自閉症やADHD(注意欠如・多動症)の原因になるという確かな科学的証拠はありません。
一部の研究で「関連」が指摘された時期はありましたが、遺伝や家庭環境などの影響を考慮した、最新かつ信頼性の高い研究では、その関連は支持されていません。
現在も国内外の専門機関は、
👉 「妊娠中に必要な場合の解熱鎮痛薬として、アセトアミノフェンの適切な使用を推奨する」
という立場を維持しています。
はじめに|なぜ、このテーマを繰り返し解説するのか
当ブログではこれまでにも、「妊娠中のアセトアミノフェン使用と、お子さんの発達」について繰り返し解説してきました。
そのたびにお伝えしてきた結論は一貫しています。
「因果関係を示す確かな証拠はない」という点です。
それでもこのテーマは、
- 「妊娠中 カロナール 自閉症」と検索してしまう
- SNSや海外ニュースで不安が再燃する
- 「もし自分のせいだったら…」と自責感を抱きやすい
という特徴があり、何度も確認したくなる内容でもあります。
そこで本記事では、
👉 2025年12月23日現在で入手可能な研究・レビュー・専門機関の見解を整理し、“今の医学的な到達点”を、落ち着いて確認できる形でまとめました。
妊娠中に使われるアセトアミノフェンとは?
アセトアミノフェンは、一般的に以下の名前で知られる解熱鎮痛薬です。
- 日本では カロナール®
- 市販薬では タイレノール®
妊娠中によく使われる場面
- 発熱(風邪・感染症など)
- 頭痛・歯痛・腰痛
- 妊娠中に他の鎮痛薬(ロキソニン等)が使いにくい場合
👉 これらは、妊娠中に比較的安全性が高いと考えられてきた薬です。
なぜ「関連がある」と言われたことがあるのか?
初期の観察研究
過去の一部の観察研究では、
- 妊娠中にアセトアミノフェンを使用した母親の子どもで
- 自閉症やADHDがわずかに多い
という結果が報告されました(ハザード比 約1.05〜1.26)。
⚠️ ただしこれは、
「原因」ではなく「関連」を示しただけであり、遺伝・家庭環境・親の基礎疾患などの影響を十分に除外できていませんでした。
家族要因を考慮すると、どうなるのか?(最新研究)
🇸🇪 スウェーデン全国約250万人研究(JAMA 2024)
この研究は、非常に大規模かつ信頼性が高いものです。
- 通常解析:リスクがやや高く見える
- 兄弟姉妹比較(きょうだい比較解析):
自閉症 HR 0.98(95% CI 0.93–1.04)
👉 統計的な差なし
💡 「きょうだい比較」と「HR 0.98」のわかりやすい解説
① なぜ「きょうだい」で比べるの?
他人同士を比べると「家庭環境」や「遺伝」の違いが混ざってしまいます。 同じお母さんから生まれたきょうだいで比べることで、それらの条件をそろえ、純粋に「薬の影響」だけを調べることができます。
(例:兄は妊娠中に薬あり、弟はなし。この2人に発達の差があるか?)
② HR 0.98(95% CI 0.93–1.04)とは?
「1.00」が基準(リスクが変わらない)です。
今回の結果「0.98」は、ほぼ1.00と同じです。
また、カッコ内の数字(0.93〜1.04)が1.00をまたいでいるため、医学的には「リスクが増えたとは言えない(誤差の範囲)」と判断されます。
この結果から、「薬そのものの影響ではなく、遺伝や家庭環境など、家族に共通する要因で説明できる可能性が高い」と結論づけられました。
🇳🇴 ノルウェー母子コホート研究(MoBa)
ノルウェーで行われた大規模な母子コホート研究(MoBa)においても、スウェーデンの研究と同様の結論が導き出されています。
- 通常解析(他人同士の比較):
ADHDや行動面の問題について、統計的な関連が認められました。 - きょうだい比較解析:
同じ母親から生まれたきょうだい間で比較を行うと、これらの関連は消失(統計的に差がなくなる)しました。
この結果は、「アセトアミノフェンが原因である」という説を否定し、「家族背景(遺伝や環境)が真の要因である」という結論をより強固に裏付けるものです。
総合評価:レビュー研究の結論
2025年11月、BMJ(英国医学雑誌)に掲載されたアンブレラレビューでは、以下のように総括されています。
- 明確な因果関係は示されていない
- 証拠の質は 「低い〜極めて低い」
脳への影響メカニズムは?
動物実験や細胞レベルの研究では、「酸化ストレス」「内分泌(ホルモン)作用」「エピジェネティック変化」などが仮説として議論されています。
しかし、ヒトの妊娠とは条件が大きく異なり、ヒト疫学研究で因果関係は証明されていません。
👉 2025年12月23日現在、あくまで「仮説段階」と評価されています。
専門機関の見解(2025年12月23日現在)
主要な専門機関は、観察研究の限界を前提に、必要時のアセトアミノフェン使用を支持しています。
- 日本産科婦人科学会(JSOG)
- American College of Obstetricians and Gynecologists (ACOG)
- Society for Maternal-Fetal Medicine (SMFM)
- American College of Medical Toxicology
妊娠中の実践的アドバイス(ここが一番大切)
- ✅ 必要なときは我慢せず相談を
高熱や強い痛みを我慢すること自体が、母体・胎児のストレスになります。 - ✅ 最小量・最短期間が基本
漫然と使わず、症状がある時だけ使用しましょう(用量超過は肝障害リスク)。 - ✅ 不安があれば主治医へ
ネット情報で不安になったときこそ、医師に直接相談してください。
よくある質問(Q&A)
まとめ|不安な検索にたどり着いた方へ
2025年12月23日現在、主要な研究結果と専門家の見解はおおむね一致しています。
「妊娠中のアセトアミノフェン使用が、自閉症やADHDを直接引き起こすという確かな証拠は示されていない」
妊娠中は、情報が多く不安になりやすい時期です。信頼できるエビデンスと医療者の助言をもとに、必要な治療を、安心して受けてください。
📍 横浜市戸塚区周辺でご相談したい方へ
妊娠中のお薬・発熱・体調について不安がある方は、主治医・かかりつけ医、または横浜市戸塚区周辺の医療機関でご相談ください。
当院(戸塚クリニック)でも、一般内科として妊娠中の体調相談や薬の一般的な説明、必要に応じた専門医への紹介に対応しています。
参考文献
- Ahlqvist VH, Sjöqvist H, Dalman C, et al. Acetaminophen Use During Pregnancy and Children’s Risk of Autism, ADHD, and Intellectual Disability. JAMA. 2024;331(14):1205-1214.
- Louwen F, Deuster E, McAuliffe FM, et al. Paracetamol (Acetaminophen) Use During Pregnancy and Autism Risk: Evidence Does Not Support Causal Association. Int J Gynaecol Obstet. 2025.
- Sheikh J, Allotey J, Sobhy S, et al. Maternal Paracetamol (Acetaminophen) Use During Pregnancy and Risk of Autism Spectrum Disorder and Attention Deficit/Hyperactivity Disorder in Offspring: Umbrella Review of Systematic Reviews. BMJ. 2025;391:e088141.
