2026/01/21
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内科・循環器内科・糖尿病内分泌内科|戸塚クリニック
(院長:村松 賢一)
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妊娠中のアセトアミノフェン(カロナール®・タイレノール®)使用とお子さんの発達について
― 直近の国際医学論文が示す現在の医学的到達点 ―
📅 最終更新日:2026年1月21日 
本記事は、2026年1月16日に公表された Lancet 関連誌の系統的レビューおよび JAMA 2024 の研究結果に基づき、以前の記事を全面的に改訂した最新版です。
結論の方向性は一貫していますが、根拠となるエビデンスの質が向上したため、現在の医学的な到達点としてまとめています。
結論からお伝えします。
直近に公表された国際的な大規模研究において、妊娠中にアセトアミノフェン(カロナール®・タイレノール®)を使用したことが、お子さんの自閉症やADHD(注意欠如・多動症)の直接的な原因になるという科学的証拠は示されませんでした。
遺伝や家庭環境を厳密に考慮した解析では、リスクの上昇は認められていません。
現在も、国内外の専門機関は「妊娠中に必要な場合の解熱鎮痛薬として、アセトアミノフェンを適切に使用する」という立場を維持しています。
はじめに|なぜこのテーマを繰り返し解説するのか
妊娠中は、「赤ちゃんに影響が出ないか」という不安が非常に強くなる時期です。
- 「妊娠中にカロナールを飲んでしまった」
- 「自閉症やADHDとの関連をネットで見て不安になった」
日常診療でも、こうした声を多く耳にします。
これまでの医学研究では一貫して「因果関係を示す確かな証拠はない」とされてきましたが、一部の観察研究が独り歩きし、不安が広がってきた経緯があります。
そのため、より精度の高い研究結果が出るたびに、医学的な整理を行うことが重要です。
妊娠中に使われるアセトアミノフェンとは?
アセトアミノフェンは、以下の名称で広く使われている解熱鎮痛薬です。
- 医療用:カロナール® など
- 市販薬:タイレノール® など
発熱、頭痛、他の鎮痛薬が使えない場合など、妊娠中に比較的安全性が高い薬として長年使用されています。
安全性が高いとされていても、副作用がゼロという意味ではありません。用量超過や長期連用は、肝障害などのリスクがあります。必ず用法・用量を守り、不安があれば医師・薬剤師に相談することが大切です。
【直近の知見】決定的な研究結果とは?
ここでは、直近で発表された信頼性の高い2つの研究データについて解説します。
1. Lancet Obstetrics, Gynaecology & Women’s Health (2026年1月)
2026年1月16日、D’Antonioらによる系統的レビュー・メタ解析が公表されました。[1]
これは43の研究を統合解析し、バイアス(偏り)を厳密に排除した非常に質の高い研究です。
きょうだい比較(Sibling Comparison)の重要性
この論文の最大の特徴は、「きょうだい比較研究」を重視した点です。
同じ母親から生まれた兄弟姉妹を比較することで、遺伝的要因や家庭環境といった「薬以外の要因」を最小限に抑えることができます。

解析結果
- 自閉症スペクトラム障害(ASD):オッズ比 0.98(リスク上昇なし)
- ADHD:オッズ比 0.95(リスク上昇なし)
- 知的障害:オッズ比 0.93(リスク上昇なし)
論文では、「妊娠中のアセトアミノフェン使用が、小児の神経発達障害リスクを臨床的に重要視すべきほど高めることを示していない」と結論づけています。
2. JAMA 2024 の全国規模研究
2024年にJAMAに掲載されたスウェーデン全国約250万人規模の研究でも、同様にきょうだい間比較において自閉症・ADHDのリスク上昇は認められませんでした(ハザード比 0.98)。[2]
異なる国・異なる研究デザインで同じ結論が再現されていることは、医学的に非常に重要です。
脳への影響メカニズムはあるのか?

医学的エビデンスとリスクのバランス
動物実験や細胞レベルの研究では、「酸化ストレス」や「ホルモン作用への影響」といった仮説が提示されたことはあります。
しかし、これらはヒトとは条件が大きく異なり、ヒトで因果関係が証明されたものではありません。
医学的には、「実際の人間でどうだったか(疫学研究)」の結果が最も重視されます。
専門機関の見解(2026年時点)
主要な専門機関は一貫して以下の立場を取っています。
- 必要な場合のアセトアミノフェン使用を支持する
- 不確かな情報による過度な回避を推奨しない
逆に、高熱や強い痛みを我慢すること自体が、母体や胎児に悪影響を及ぼす可能性もあります。
妊娠中の実践的アドバイス
- ✅ 必要なときは我慢せず相談する
- ✅ 最小量・最短期間を意識する
- ✅ 不安があれば主治医に直接相談する
ネット情報だけで、ご自身を責める必要はありません。
よくある質問
A. 大丈夫です。直近の医学研究において、それが原因で自閉症などになるという確かな証拠はありません。
A. 過去に関連が疑われたことはありますが、現在はきょうだい比較などの精密な研究により、因果関係は否定的と考えられています。
まとめ|不安な検索にたどり着いた方へ
現在の医学的到達点として、「妊娠中のアセトアミノフェン使用が、自閉症やADHDを直接引き起こすという確かな証拠は示されていない」という点は、複数の高品質研究で一致しています。
必要な治療を、安心して受けてください。
参考文献(主要出典)
- D’Antonio F, et al. Prenatal paracetamol exposure and child neurodevelopment: a systematic review and meta-analysis. Lancet Obstet Gynaecol Womens Health. Published online January 16, 2026.
https://doi.org/10.1016/S3050-5038(25)00211-0 - Ahlqvist VH, et al. Acetaminophen Use During Pregnancy and Children’s Risk of Autism, ADHD, and Intellectual Disability. JAMA. 2024;331(14):1205–1214.
https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2817406 - Sheikh J, et al. Maternal Paracetamol Use During Pregnancy and Risk of ASD and ADHD: Umbrella Review. BMJ. 2025;391:e088141.
https://www.bmj.com/content/391/bmj-2025-088141
