2026/01/30
【横浜・戸塚駅西口 徒歩10分/駐車場あり】
内科・循環器内科・糖尿病内分泌内科|戸塚クリニック
(院長:村松 賢一)
当院は「内科のかかりつけ」として、
高血圧・糖尿病などの生活習慣病や体調不良、
甲状腺を含む内分泌のご相談まで幅広く対応しています。
予約優先制ですが、予約なしでも受診可能です。
(予約をおすすめする理由は待ち時間を短くするためです。
混雑時はお待ちいただく場合がありますが、症状に合わせて柔軟に対応します)
症状が気になる方は、ご都合のよいタイミングでお越しください。
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※運動を始める前に: 胸痛・息切れ・動悸・めまいがある方、心不全・狭心症・重い不整脈・高度高血圧の治療中の方、関節や腰の痛みが強い方は、 急に強度を上げず、主治医に相談のうえ安全な範囲から始めてください。
本記事は、2026年1月28日発表の Nature 解説記事 を中心に、 Circulation (2011/2022)、European Heart Journal (2022)、JAMA Internal Medicine (2019)、Preventive Medicine (2011) などの一次文献を参考に、 多忙な現代人が日常の中で心臓を守り、健康寿命の質を高める可能性をサポートするための現実的な戦略を整理したものです。
運動は最高の自己投資【第6弾】
―― 「運動スナック」:1日“数分の積み上げ”と7,000歩が心臓を守る ――
戸塚クリニック|内科・循環器内科・糖尿病内分泌内科(横浜市戸塚区)
「運動が大切なのは分かっている。でも、時間がない」—— これは横浜市戸塚区の診察室でも、ほぼ毎日のように耳にする言葉です。
近年、スマートウォッチなどの普及により、 自己申告では見逃されていた「数分間の日常の動き」が 加速度計(accelerometer)データとして正確に可視化されるようになりました。 その結果、「短い運動でも健康に意味がある」ことが、 感覚や経験則ではなく、科学的データとして示されるようになってきました。
なぜ「短い運動」の効果が、ここまで精密に分かるようになったのか
これまで運動研究の多くは「自己申告(アンケート)」に頼ってきました。しかし自己申告は、どうしても記憶違いや無意識の過大評価が入りやすく、 とくに「日常の数分(階段・早歩き・家事)」のような細切れの活動は、測定から抜け落ちがちでした。
一方、ウェアラブルデバイスに搭載される加速度計(accelerometer)は、体の動きを“連続データ”として捉えます。 これにより、 (1)実際に動いた時間、 (2)動きの強さ(中強度〜高強度の判定)、 (3)短い活動の積み上げ(数分×複数回) が、日単位・週単位でより正確に把握できるようになりました。
つまり、この技術で明らかになったのは、 「まったくやらない状態から、少しでも体を動かし始める瞬間」が 最も大きな健康効果を生む可能性が高い——という、シリーズ第1弾 『運動は最高の自己投資』 でお伝えした考え方です。
当時は主に疫学研究やガイドラインを基に説明していましたが、 今回の Nature 解説記事では、 ウェアラブルデバイスと加速度計データによって、 この思想がより精密に、科学的に裏づけられた形になっています。
科学が示唆する結論
- 週150分に届かなくても、動いた分だけリスクが下がる可能性があります
- 特に「ゼロ → 少し」の変化が、投資効率が高い傾向にあります
- まずは1日5分、慣れたら1日7,000歩が現実的な目安です
「たくさんやらないと意味がない」という誤解
診察室で患者さんからよく聞かれるのが、こんな質問です。
「少し歩く程度の中途半端な運動では、意味がないですよね?」
いいえ、そんなことはありません。
この点については、すでに 運動は最高の自己投資 第一弾(全文) で詳しく解説しましたが、 運動量と健康効果の関係は、私たちが直感的に思っているほど単純ではありません。
多くの方は「運動は、やればやるほど効果が比例して増えるもの」と考えがちですが、 近年の疫学研究や加速度計データを用いた解析から、 運動量と健康効果は 直線的ではなく、用量反応関係(dose-response)を示しつつ、 ある程度で頭打ち(plateau)になる ことが分かってきました。
そして最も重要なのは、 最大の健康効果が得られるのは、 「たくさん運動している人がさらに頑張ったとき」ではない という点です。
最も大きな変化が起きるのは、 「まったく運動していない状態(座りがち)」から 「少しでも体を動かす状態」へと変わった瞬間です。
つまり、マラソン選手のように走る必要はありません。
毎日ジムに通う必要もありません。
何もしていなかった人が、1日数分でも体を動かし始める。
この「ゼロをイチにする最初の一歩」こそが、 医学的に見て最も投資利回りの高い健康行動なのです。
第1弾では主に疫学研究やガイドラインをもとにこの考え方を説明しましたが、 今回の Nature 解説記事では、 ウェアラブルデバイスと加速度計データによって、 この思想がより精密に、科学的に裏づけられた形になります。
◆ 「運動=30分以上」の固定観念を超えて
各国のガイドラインは「週に150〜300分の中強度の活動」を推奨していますが、 この目標に達していなくても顕著な利益が得られる可能性があります。
- 週20〜74分: 全死亡リスク 9%低下の可能性
- 週150〜300分: 全死亡リスク 20〜21%低下の可能性
「完璧かゼロか」ではなく、 「少しでもやる」という選択が、 長期的には最も現実的で、続けやすい戦略です。
◆ 「運動スナック(エクササイズスナック/exercise snacks)」とは
今回の Nature 解説記事で注目されている概念が「運動スナック(exercise snacks)」です。
日本語では「エクササイズスナック」と表記されることもあり、 本記事では意味が同じ概念として併記します。
日常生活の中に数分間の、少し息が上がる動きを意識的に散りばめる考え方です。
- 階段を少し速めに上る:息が少し上がる程度が目安です
- 通勤・買い物に早歩きを:目的地までの1区間だけ「本気」で歩く
- 家事や仕事の合間に動く:立ち上がって足踏みをするだけでも刺激になります
◆ 数字で見る「少しの積み上げ」の力
- 最も運動不足な層(下位20%)では、1日わずか5分の追加が大きい:
その層において、中強度以上の活動を1日わずか5分増やすだけで、 死亡の約6%を予防できる可能性が、一部の研究で示唆されています(解析条件つき)。 - 強度が少し高い活動でも「合計が短くてよい」可能性:
一部の研究では、坂道やランニングのような「会話が難しくなる程度の活動」で、 週に合計15分でも死亡リスク低下と関連した報告があります(文献条件つき)。
◆ 歩数の目安:まずは「1日7,000歩」
スマートウォッチ等の利用者にとって、最も管理しやすい指標は「歩数」です。
まずは1日約7,000歩を、現実的な目安として考えるのがよいでしょう。
- 高齢女性の調査では、1日4,400歩程度から死亡リスク低下が確認されています
- 週150分の推奨量を満たしている層は、平均して約7,000歩/日を達成していることが多い傾向にあります
- ※「7,000歩」は加速度計(accelerometer)研究に基づく“目安”です(例: Tudor-Lockeらの報告 など)
💬 運動は最高の自己投資シリーズ(過去回はこちら)
◆ 院長からのメッセージ
運動は「気合」ではなく「設計」です。
ゼロ → 少しへの一歩さえ踏み出せば、健康への投資としては既に大きなリターンを得始めている可能性があります。
もし、運動を始めた際に動悸・息切れ・胸の違和感を覚える方や、 持病があり安全な負荷量が分からないという方は、 内科・循環器内科・糖尿病内分泌内科の専門医として、心電図や心エコー、血液検査などで安全性を確認し、 あなたの体調に合った「無理のない運動プラン」を一緒に考えます。
※ネット予約ページが開きます
参考資料(一次ソース)
[1] Nature (2026/1/28) “The surprisingly big health benefits of just a little exercise”
[2] Sattelmair, J. et al. Circulation (2011)
[3] Lee, D. H. et al. Circulation (2022)
[4] Ahmadi, M. N. et al. European Heart Journal (2022)
[5] Lee, I.-M. et al. JAMA Internal Medicine (2019)
[6] Tudor-Locke, C. et al. Preventive Medicine (2011)
運動は最高の自己投資。
今日の数分が、健康寿命の質を高める一歩になる可能性を、
静かに、しかし確実にサポートします。
