2026/02/08
【横浜・戸塚駅西口 徒歩10分/駐車場あり】
内科・循環器内科・糖尿病内分泌内科|戸塚クリニック
(院長:村松 賢一)
当院は「内科のかかりつけ」として、
高血圧・糖尿病などの生活習慣病や体調不良、
甲状腺を含む内分泌のご相談まで幅広く対応しています。
予約優先制ですが、予約なしでも受診可能です。
(予約をおすすめする理由は待ち時間を短くするためです。
混雑時はお待ちいただく場合がありますが、症状に合わせて柔軟に対応します)
症状が気になる方は、ご都合のよいタイミングでお越しください。
▶ WEB予約(24時間受付)
https://wakumy.lyd.inc/clinic/hg08287
▶ クリニック案内
https://www.totsukaclinic.com

糖尿病は「早く見つかってよかった」|がんの常識で考える“早期発見”の意味(前糖尿病・横浜市戸塚区)
この記事は2026年2月の新たな医学的知見に基づき、健診結果をどう捉え、将来リスクをどう判断すべきかの観点から改訂されています。
2025年12月公開の元記事はこちらからご確認いただけます。
健診でこう言われた方へ:
- 「糖尿病の可能性があります」
- 「将来、糖尿病になる可能性があります」
- 「境界型糖尿病(前糖尿病)です」
当院で「糖尿病です」として受診される方の多くが、数年前の健診で前糖尿病(境界型)を指摘されていたことが少なくありません。
当時は無症状で「まだ大丈夫」と思いがちですが、実は“いちばん整えやすい時期”を過ぎてしまっていることもあります。
この記事が、先延ばしにしないための「整理の地図」になれば幸いです。
結論:糖尿病の「早期発見」の価値は、薬を急ぐことではなく、血糖・血圧・脂質・体重・生活をセットで整える“多因子管理”を早く始められることにあります。
※本記事は一般的な医療情報です。症状が強い/急な体調変化がある場合は早めに医療機関へご相談ください。研究結果や数値は「集団の傾向」であり、個人の結果を保証するものではありません。
がんは「早期発見・早期治療」が常識ですが、糖尿病は健診で早めに指摘されると、なぜか「薬が増える」「悪いことが確定した」と受け止められがちです。
けれど糖尿病は、放置すると時間をかけて合併症リスクが積み上がる病気です。だからこそ本来は“早く見つかるほど有利”になりやすい――ここが出発点です。
【クリックで開く】前糖尿病(境界型)とは?―「まだ大丈夫」の落とし穴
前糖尿病(境界型)は、糖尿病そのものではない一方で、将来の糖尿病や心血管リスクが上がりやすい状態を指します。
人によって弱点は違い、HbA1cが少し高い/空腹時血糖が境界域/食後だけ大きく上がるなど様々です。
ただし見方を変えると、前糖尿病はいちばん整えやすいタイミングです。目的は「すぐ薬」ではなく、血糖(特に食後)・血圧・脂質・体重・肝臓脂肪・運動/睡眠を含めて、将来を守る設計図を早めに作ることです。
【2026年エビデンス要旨】前糖尿病の「寛解(正常域に戻る)」は将来リスクと関連
長期追跡データを用いた解析(Lancet Diabetes & Endocrinology)では、前糖尿病の段階で血糖が正常域に戻った(=寛解)人は、その後の心血管死や心不全入院が少ないことと関連していました(ハザード比は0.4台)。
さらに、この関連が生活介入終了後も20〜30年続く可能性が示唆され、レガシー効果(metabolic memory)の考え方と整合します。
※この解析は post-hoc(事後)解析で、因果を断定するものではありません(「寛解したから必ずイベントが減る」とは言えません)。
ミニ解説①:post-hoc(事後)解析とは?
元々の試験の主要目的とは別に、後から追加の切り口でデータを解析する方法です。
「寛解したからリスクが減った」と因果を100%断定はできませんが、早期に数値を整えることの意義を考える上で、重要な示唆になります。
ミニ解説②:HR(ハザード比)0.4台はどう読む?
HRは追跡期間を通じた「イベントの起こりやすさ」の比です。
HR 0.4台は「寛解しなかった群に比べ、寛解した群でイベントが起こりにくかった」ことを意味します。
【直感的な解説】
本来なら心臓病で入院したり亡くなったりするはずだった人が10人いたとして、早期に正常域へ戻せたグループでは、それがわずか4人前後に抑えられた可能性を示しています。
ただし、これは集団の傾向で、個人の将来を保証する数字ではありません(年齢・血圧・脂質・喫煙などで変わります)。
早期発見の真の価値=「多因子管理」
糖尿病の合併症リスクは、血糖値だけで決まりません。血圧や脂質、体重などの合算で決まります。早期に見つかるほど、これらを同時に整える「設計図」が作りやすくなります。

注意:早期発見したからといって、必ず心筋梗塞や死亡が減ると断言できるわけではありません。
ただし、早期から多因子管理(血糖だけに偏らない)を始めることで、将来のリスクを下げ得る――という整理が現実的です。
読み飛ばし防止:健診→受診→次の一手
日本人に多い「痩せ型スパイク」のリスク
日本人は欧米人に比べ、インスリン分泌の弱さが前面に出るタイプが一定数あり、BMIが高くない(標準〜やせ型)方でも食後の血糖値だけが跳ね上がることがあります。これは空腹時採血だけでは見落とされがちです。

実務の示唆:
血管が「良い状態」を覚えている:レガシー効果
早期に良好な状態を作ることで、数十年後もその恩恵が続く現象がレガシー効果(metabolic memory)です。前糖尿病の段階で「戻す」ことが、将来への大きな投資になります。

大事な留保:レガシー効果は強力な概念ですが、すべての人に同じ大きさで起こるわけではありません。
それでも、「今日の一手が、数年後〜十数年後の差になり得る」という方向性は、行動を後押しする十分な理由になります。
検査の使い分け(OGTT / CGM)
| 検査 | 目的・強み | ポイント |
|---|---|---|
| HbA1c | 過去1〜2ヶ月の平均評価(推移が追いやすい) | 貧血などでズレることがあります |
| 空腹時血糖 | 基盤となる血糖値の確認(スクリーニングの基本) | 体調・睡眠不足・ストレスでブレることがあります |
| OGTT
(クリックでミニ解説へ)
|
食後高血糖(スパイク)の検出に強い | 時間・手間がかかるため「目的が明確な時に」検討 |
| CGM
(クリックでミニ解説へ)
|
24時間の波(食後スパイク・夜間など)を“見える化” | 診断確定の標準検査ではなく、補助する目的(前糖尿病では原則自費) |
ミニ解説:OGTTはどんなときに役立つ?(クリックで開く)
OGTT(75g経口ブドウ糖負荷試験)は、空腹時がそこまで高くなくても、食後の血糖が大きく上がるタイプを拾いやすい検査です。
日本人では「肥満が目立たないのに食後スパイクが強い」ケースが一定数あるため、HbA1cや空腹時血糖だけでは判断が難しい場面で検討価値があります。
補足:糖尿病の「確定」は、状況により別日での再検証が必要になることがあります(医師が個別に判断します)。
ミニ解説:CGM(持続血糖モニタリング)とは?(前糖尿病では原則自費)(クリックで開く)
CGMは、皮下センサーで血糖の推移を連続的に記録し、日内変動や食後スパイクを可視化する方法です。
役立つ場面:「何を食べるとどれくらい上がるか」「運動・睡眠・ストレスでどう変わるか」を具体化でき、生活改善の設計に役立ちます。
重要:CGMは一般に診断確定の標準検査ではありません。基本は HbA1c / 空腹時血糖 /(必要なら)OGTT で評価し、CGMはそれを補助する目的で使います。
保険と自費:日本ではCGMの保険適用は条件が限られ、前糖尿病(境界型)の方は原則として自費となります(生活改善の参考として用いる場合など)。
制度・目的・装置・状況で扱いが変わるため、具体的な費用や適用可否は診察時にご相談ください。
横浜市戸塚区で健診指摘を受けた方へ
「境界型」は、怖がるサインではなく整え始めるサインです。
当日のうちに優先順位を整理し、あなたの生活に合う「設計図」を一緒に作ります。
※健診結果用紙(今回+過去分があれば)をそのままお持ちください。
よくある質問(Q&A)
A. はい。前糖尿病はいちばん整えやすい時期です。何がリスクで何から手をつけるべきかを整理するだけでも、先延ばしを防げます。
A. 日本人はインスリン分泌力が欧米人より弱いため、肥満が目立たなくても食後高血糖(スパイク)が起こり得ます。必要に応じて OGTT や CGM を検討します。
A. 保険適用は条件が限られ、前糖尿病(境界型)では原則自費です。詳しくは状況により異なるため診察時に確認します。
参考文献
- Arreola A, et al. Lancet Diabetes & Endocrinology. doi:10.1016/S2213-8587(25)00295-5
- 日本糖尿病学会『糖尿病診療ガイドライン 2024-2025』
※この記事は情報提供を目的としており、診断・治療の代替ではありません。症状が強い場合は早めに医療機関へご相談ください。
